55話 袖すり合うも…
文化祭以降、次第にわたしの意識はマキに移っていった
マキとの直接的な接触はまだなかったけど。
継人との出会いのキッカケはマキだったから…
マキの彼氏が友人として連れてきてたのが継人だ
結果的にマキがわたしたちのキューピッドと言っても言い過ぎじゃない
継人を追わないようにしようとする分マキを探すことが多くなった
マキが所属するテニス部は茶道部の部室の窓からよく見えてたのでわたしはマキのことを目にする機会が増えていた
テニス部が終わる頃にはよく男子がマキを迎えに来てた
一年生の間に少なくとも三人は見たかな…
普段からわりと派手目で人懐っこい性格のマキ
女子の間じゃ『あの子は男子にだけ調子いいから』なんてよく陰口叩かれてたっけ
ホントに一年生の間はマキと接点なんかなかった
今みたいにマキのこと知ってなかったら敬遠してたかもしんない
実際当時は敬遠してたように思う…
人との出会いなんてわからないもんだよね
「袖すり合うも他生の縁」⋯なんて言葉があるけど、どんな出会いも結果論なんだよね
だからどんな出会いも大切にしなきゃいけないってことなんだろうけど
良いも悪いもあるんだろうし
そんなの袖すり合ったくらいでわからないって…
だっていまこうしてわかってるのだって二度目だからだし… だけどどんな出会いもわたしの未来に繋がってた ちゃんとわたしは自分のために選択してたってことなんかな…?




