47話 予期せぬ…
ーガラッ
「塩田先生まだ来てない?」
「まだ来てませんけど、クラブ体験の一年生は来てます」
後ろの方で扉が開く音がして、話し声が聞こえてくる
誰か入って来たみたいだ
わたしもユミもそんなことお構いなしに作品を見るのに夢中だった
「ようこそ、わざわざ文芸部へいらっしゃいました」
その声はわたしたちにかけられていた、きっとさっき入ってきた人物だろう
挨拶をしようと振り返ったそのとき…
「つ、継!!??」 バチンッ!!ー
わたしは咄嗟に両手で口をふさいだ!
最後まで声を出すわけにはいかないと必死に口をふさごうとした勢いで自分の顔を叩くようになってた
わたしの行動は奇異の目を持って迎えられていた
そりゃそうだろう…
「大丈夫? どうしたの?」
驚いた顔をしながら心配そうにわたしを見る継人
驚きが収まってくるとドキドキが顔を出す
思うように声が出ず恥ずかしさで口を覆っている手を離すこともできなかった
「ミサ? 大丈夫??」
うん、とは言ったものの大丈夫かと言われると そうでもなかった
ドキドキの正体もわからないまま おそらくその原因の継人が目の前にいるんだから
顔の痛みよりも そっちの方こそ大丈夫じゃない
「へ、平気だよ〜 急にくしゃみでそうになっちゃったからさ、あはは…」
苦し紛れの言い訳をしながら手をおろしながら、継人に向かって小さく頭を下げた
チラッと上目遣いで見上げた継人は少し戸惑ってるように見えた
「大丈夫そうでなにより、僕は文芸部の副部長の
『永久継人』。よろしくね」
副部長なんだ? へぇー、なんか意外…
「わたしは一年E組の竹井由美です!よろしくお願いします!」
「わ、わたしは一年E組の『重命美紗緒』です…よろしく…お願いします」
ユミに続いてわたしも挨拶をする…しげしげと継人を眺めながら…
一昨年見た時より顔立ちがわたしの知ってる継人に近づいて来てた 少年ぽさが抜けてる感じ、つまり成長を感じるってことか…
「ん? あれ? 確か君は…」
あんまり見過ぎてるもんだから継人と目が合った
今度はわたしのことを継人が凝視する…
「どっかで見たような… あっ!? もしかして中学の時にもここに見学来なかった??」
覚えてたんだ? わたしのこと? どうしよ? なんて反応したらいいんだろ?
「あぁーーーー!! あの時の部員さんですか!」
わたしより先に声を出してたのはユミだった
「ほらほら、ミサが変なこと言って困らせた部員さんだよ!! 覚えてないかな??」
ミサが結構しっかり覚えてたのも意外だったけど…
「あ、その節はどうも…」
やっぱり、と言った表情をした継人は笑いながら、
「君はいつも賑やかなんだね、ここはみんな静かだから君が入ってくれたら賑やかになりそう」
なんて気楽に言ってくれた
継人と二言、三言と話すうちにわたしのドキドキが収まっていくのを感じる
普通に接することができてるって安心感からなのかな…




