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39話 近づく




中学3年生も二学期に入るとだいぶ様相が変わる

受験に向けてそれぞれどんな夏休みの過ごし方をしたかが露骨に出てくる

まだこの時代は私学への進学率もそれほどでもなかった わたしのクラスからはサッチを入れて10名程が希望をしてはいたが、他で私学を受験する生徒は滑り止めくらいの意識だったように思う

なにせ私学への受験は公立よりも時期が早かったから


わたしはと言うと、放課後教室に居残り ユミを含む数名と一緒に勉強をする日々が続いてた

当たり前だが、みんな初めての受験ということで勝手もわからずただただ一生懸命勉強していた

以前はこんなことなかったんだけど、みんなのその真剣に勉強に取り組むさまにいい加減な教え方は出来ないとわたしも必死になっていた

あれだけ必死だった体育祭や文化祭も2年生のときほどの勢いは影を潜めていた

それでもやはり学校行事は勉強の息抜きにはなってたみたいだ

こうして二学期も終わり年末年始を迎える

夏休み以上に大事な冬休みになっていた

わたしは、と言うと…勉強に関しては正直なんの心配もしていなかった

ユミにしても今のままでも間違いなく合格するだろう

結果を知っているから、と言うだけでなくユミの学力はわたしの知っていた以前とは違っていた

当時のわたしはみんながこれほど頑張ってるのを知らなかった もちろんわたし自身も頑張っていたから周りを見る余裕もなかったんだろう

不安を打ち消すためには勉強するしかなかった

まさにそんな冬休みだった


冬休みが明け三学期が始まるとすぐに私学の受験があった 

ここで合格を勝ち得た者たちはそれまでの緊張からいち早く解放される

サッチは滑り止めではなく志望校への合格を果たしたことで本当にスッキリした表情をしていた

ユミはサッチの話しを 目を輝かせて聞いていた

『努力は裏切らない』⋯サッチたまには良いこと言うじゃん

私学合格組、滑り止め合格組を除けばまだ進路が決まっていない生徒たちも多く、皆不安を抱えたままで卒業式を迎える

当時の自分がどう思っていたのかすら推し量ることもできないが 中学3年生が抱える状況としては進路も決まらないまま卒業していくのは不安なもんだと思う

わたし自身も中学校の卒業式はあまり記憶に残っていないのもそういう理由かもしれないな、と感じた

それでも、卒業式では涙で友だちや先生方との別れを惜しみ三年間の学び舎を後にした




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