28話 クラブ見学
当日 県立神城南の正門前で集合したわたし達は引率の先生に連れられて学校内の見学をする
わたしんちからは一度幹線道路まで出てバスで通学20分くらいの距離だった
当時は新たな通学方法や、なんだか大人びて見えた校舎に胸が躍った記憶がある
これまた何十年ぶりかに足を踏み入れた県立神城南に懐かしさと感慨深さを感じる
〈つくづくわたしは昭和53年にいるんだなぁ〉と再確認した
教室やグランド、体育館やプール等の施設を順に追って説明してくれる先生たち
わたしにとってはどれも懐かしい風景
あちらこちらにわたしの思い出の欠片が散らばってるようで いろんな出来事を思い出させる
どんな行動をこの高校見学会でとってたのかは思い出せなかったけど、一通り校内を案内してもらった後のクラブ見学でわたしは【文芸部】を希望したのだけは覚えていた(結局【文芸部】には入部しなかったんだけどね)
「はぁーい! それじゃこれからクラブ見学でぇす!! 各クラブのプラカードを持ってる人のところへ移動してくださーーーい!」
ざわざわするピロティで一際大きな声で指示するのはおそらく生徒会の人だろう
他校からも集まった中学生で真っ黒にピロティが埋め尽くされていた
各自おもいおもい目指すクラブのプラカード下へ移動していく
クラブ見学では普段学校で行われているクラブ活動の一端を体験できたり見学できたりする
わたしたちは文芸部のプラカードの下へ急いだ
各クラブとも凝ったプラカードを自作していて、野球部はボールとバットの絵で文字を構成していたり、サッカー部に至ってはプラカードの形がサッカーボールのような形をしていた
我らが文芸部はと言うと…プラカードの下地が原稿用紙みたいになっているという、ひと目見たくらいではわからない芸の細かさだ
野球部ほどではなかったけど20名くらいは文芸部にも集まっていた