2話 天使?
ー みさ…お…ま… みさ…さ…ま… みさおさ…
ん、んん〜
ー みさおさ…ま… みさおさま…
‥‥なんだか呼ばれてる気がする… けどそんなハズはない… だって、わたしは死んだのだから…
ー みさおさま… みさおさま… 美紗緒さま
‥‥‥ は、はいっ!? えっ!? わたしっ!?
勢いよく目を開けた! もう開くことはないと思ってた目が、なにも見えることないって思ってた目が、
開いたと同時に目の前に真っ白と真っ黒の世界が広がっていた…
厳密には 半分真っ白で半分真っ黒な世界…
陰と陽を表すマーク(太極図)のようにわたしの視界の上の部分と下の部分でその白と黒が混じりあってるように見えた…
もっと言うならわたしに見えてる世界以外のなんにも見えなかった
自分の右手を動かしてその方向を見てみるけど なんにも見えない 左手にしても足にしてもそうだった
つまりわたしには視界しかなかった…
あ、でもこうして考えることはできてるんだから思考もあるってことか…
わたしは辺りを見まわして声の主を探してみるけど見つからない キョロキョロあちこちを見ているわたしにまたあの声がした
ー 美紗緒さま どうやらお目覚になられたようですね…
どうやらその声はわたしの真上から聞こえてるようだ
わたしはゆっくり視線を真上に動かすと、そこには…
白い煙のような雲のような立体感だけがある気体が漂っていた
(なんだろ? これは? これが声の主?)
ー 美紗緒さま あなたに見えているのはわたしのイメージ あなたがわたしをどうイメージするかによってわたしの姿も変わります
なにを言っているのかわからなかったし 理解しようとも思わなかった だって状況が飲み込めなかったし、なによりわたしは死んだハズだから…んっ?
死んだ…? ってことはここは死後の世界!?
(もしや あなたは天使なの?? それとも死神!?)
死んでるのに今更死神もないか‥‥じゃあやっぱり天使‥‥?
わたしがそう思ってさっきの気体を見てみると…
みるみるその気体の形が変わっていき 真っ白いスーツを着て背中に羽が生え 黒いステッキに、白いシルクハットをかぶった天使と思わしき姿があらわれた
(へぇ~ 天使ってスーツを着てるんだ!)
その姿を見たわたしは思った
ー これは美紗緒さまが想像した姿であってそれぞれのイメージで変わります よって美紗緒さまが見ているわたしの姿はあくまでも美紗緒さまのイメージの姿です
なるほど、そういうことか
さっきの天使?の説明が今ようやく飲み込めた
じゃ、こういうことかな? わたしが関西弁の天使をイメージすればそうなるとか?
ー そういうことでんな〜 美紗緒さま飲み込み早いでんな〜
アハハハ 可笑しい! んじゃ容姿もわたし好みにイメージできちゃうんだよね?
ー そりゃそうやけど ちょっと遊び過ぎとちゃいますか〜?
関西弁とぴったりなお笑い芸人風をイメージすると まさにイメージそのままの姿になる!
(で、なんの用なの? もうわたしは死んでるんだよね? それともこうやっていつまでもわたしに構ってくれるの? 死後の世界って?)
いくらおもしろいことを考えて それが目の前で具現化されたところで姿のないわたしにはなんの干渉もアクションも起こせない もうわたしとしての存在は意識のみってことなんだろう
ー 大事なことやから ちゃんと聞いてやー?
ここからは関西弁のイメージはなんか違うと思ったわたしは執事のようなイメージを持とうと努力した
どうせならイケメン執事で話してもらおうじゃないの!