18話 高校見学
「あ!そうそう、こないだ先生が言ってた『高校見学』っての、どこにするか決めた?」
サッチが唐突に切り替えた話題
渡りに船だった
「今週末までだよね?先生に伝えなきゃなの?」
ユミも即座に話題を乗り換える
とにかく話題が切り替わったことにわたしは安堵する
そういえばそういうのあったな?とわたしも思い出す
体育祭だ文化祭だとなにかと行事の多い二学期に
『高校見学』も入ってたんだ…
わたしの住んでる地域の学区には三つの高校の選択肢があった
親は公立に進学してほしいと言ってたし、わたし自身も公立に行きたかったのを覚えてる
学力的に市立神城高校→県立神城南高校→県立神城北高校って難易度が上がるんよね…
まぁわたしは真ん中の県立神城南高校卒なんだけど
結局見学に行った高校を受験したんだよね、それでも一応見学には行っといた方がよさそうよね?
「ミサはもう決まった? 前までは『神城南』って言ってたじゃん?」
うん、そう…神城南、そこが母校
後で知ったことなんだけど継人もそこの生徒だったみたい
在学中は全然知らなかったけどね
「そうだよ、神城南! とりあえずそこを第一志望にしてるんだ〜」
「わたしもだよ! お互い頑張ればなんとかなるっしょ!!」
ユミは腕を曲げてかわいく頑張るぞのポーズを決める
大丈夫だよ、ユミはこのまま努力を怠らなければ一緒に神城南高校通えるから!
「サッチは?」
「わたしもそこ受けたいんだけどさ、親が私学受けろって言うんよね… ほら、うち両親うるさいからさ」
そうなんよね、サッチとこ両親が教師だからいろいろうるさかったんだよね
サッチはそのプレッシャーに反抗してたりしてたの思い出した
「サッチはママになったら教育ママにならないように気をつけなきゃねー」
「なにそれ? ならんし!」
顔を真っ赤にしてたのは怒ってるからなのか 照れてるからなのかわからなかった
でも未来じゃサッチも教育ママになってるって聞いたことあったな… 血は争えないと言うか、結局親はどんな形であれ子どものこと心配してんだよね…
ー キーンコーンカーンコーン ー
お弁当食べてうだうだ話してたらすぐにチャイムが鳴ったように感じた
朝の坂道と言い、楽しい時間ってのはいつもあっという間だ
「じゃあ帰りのHR終わったら先生に言いにいこっ!」
わたしはユナに声をかけた
うんっ!と頷くユナ、それを見てたサッチが
「わたしも見学はそこ行くから! 一緒に行く!」
なんだか慌てたように言うもんだから わたしとユミは可笑しくなって顔を見合わせクスクス笑った
なんでも一緒がいい…この頃のわたしたちってそんな感じだったのかな…
今こうして自分の立場からいちいち振り返って見てしまう なんでも素直に思ったまま話せてるユミやサッチを見てて少し羨ましかった…




