121話 マキからのプレゼント
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「美紗緒、誕生日おめでとう」
「ミサ、ハッピーバースデー♪」
その日は朝から会う人会う人におめでとうを伝えられた
だって今日はわたしの誕生日だから!
過去に戻ってきてからすでに四度目の誕生日を迎えてた
その都度が嬉しいことに変わりはなかったけど、やっぱり18歳、高校三年生の年にはわたしにとって大切な出来事がいくつかあったので、特別な誕生日になっていた
「美紗緒〜、お誕生日おっめでとうー! わたしより先に18歳なっちゃったね〜 おっとなーーー!!」
わたしを見つけるなりマキはお祝いの言葉を投げつけてきた! なんら特別なことではないと言った感じで二人の仲をアピールする
「ありがと、マキ! これからはわたしのことお姉さんと慕ってね?」
「もうそう思って慕ってますけど? 頼りになる美紗緒おねえーさん!」
くっ、やはりマキのが一枚も二枚も上手だ…
わたしの茶目っ気が通じないことが思い知らされる
「あ、そだ! はい、これ!!」
マキはなにやらカバンの中をごそごそまさぐって 取り出した小さな包みをわたしへと差し出す
「プレゼント! 開けてみ?」
「えっ!? そんなのいいのに…」
わたしはマキから差し出された小さな包み紙を受け取った ニヤニヤするマキの顔を見ながら包みを開け中身を取り出してみると…
「わ!! キキララのキャップじゃん!!」
以前マキとサンリオショップに立ち寄った時にわたしがかわいいと言った鉛筆キャップ! その時のこと覚えてたんだ…
「お姉さんはそういうお子ちゃまみたいなかわいいのがお好きだろ??」
少しからかいが入っていたとしても嬉しかった
とは言えあの時のわたしの『かわいい』には『懐かしい』がかなり含まれていたんだけどね…
「ありがとう、大事にする! すっごく嬉しいよ、マキ!!」
「そんな大げさに喜ぶかー? こっちのが照れるわ」
アハハとマキと顔をつきあわせて笑いあった
さりげないマキの優しさ…
まだまだ幼さが同居する一面が垣間見える
きっとわたしには年齢以外の『幼さ』はないんだろうな、と感じた
だからみんなのことかわいいんだ、とも思えた
わたしはカンペンを取り出すともらったキャップを鉛筆に一つずつかぶせていった




