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12話 やるしかないっ


それ以前にわたしは死んだんだ…


60歳の時に受けた人間ドックで癌が見つかった

もう少し早く気づければ、とお医者さんに言われたのを覚えてる

わたしも5年毎に人間ドックには申し込んでいたけど、まさかその受けない間に癌が発症してたなんて思いもよらなかった

癌の進行は早く、わたしは62歳を迎えることが出来なかった

いよいよってなって入院したのが9月の中頃だったまでは覚えてるけど、そこからは意識が朦朧として何日間入院してたのか、もっというと何月何日なのかわからない状態で最後を迎えた

自分がいつ死んじゃったのなんてわかんないハズなんだけど、なんだか10月02日だったような気がする…

それも誰かに教えてもらったような気が⋯


⋯それとも、そんなことなく全部【夢】!?

それとも妄想!? えっ、待って、ホントそうかも!? 一度死んでるとかありえないし、なんなら生まれ変わりや転生なんてのもありえない!

だってわたしのことはわたしだからわかって当然だし、壮大に寝ぼけてて夢で見た世界と混同してるだけって考えたら全部辻褄が合う!!


わたしが結婚してたとか、子どもがいたとか、なんなら孫がいたとか…って⋯そんなこと ある? ある?


⋯⋯⋯それが、結構しっかり記憶がある…


夫の【継人つぐと】、娘の【まい】、息子の【しゅん】、孫の【智希ともき】、【未結みゆう】、【凜花りんか】…


これだけはっきり言える、思い出せる

こうやって思い出してるだけで胸が熱くなる…

涙がこみ上げる… なのに『夢』な訳ないよね…

ごめんね、みんな…『夢』だなんて…

現在いまには確かに存在しなくても みんなと一緒に過ごした未来は確かに在った!


そうだ⋯ そうだよ! わたしは、ともくんに会いたいんだ! みゆちゃんに会いたいだ! りんちゃんに会いたいんだ! だから きっと そのためにここにいるんだ!!!


大切なこと…思い出した…

忘れてたんじゃなくて、思い出したんだ…

白と黒のハーフな世界⋯ 魂のわたし…

真っ白な天使⋯ わたしのイメージなんだけど⋯

その天使との会話⋯ 思い出した途端全部綺麗に繋がっていく


「わたしは孫ちゃんたちに再び会うために現在いまここにいるんだ…』


いつの間にか立ち止まってた

誰もいない通学路、他に動く物のない世界はまるで止まっているかのようだ

ギュッとこぶしを握る

慌ただしい朝の時間のハズなのにほんの一瞬自分の居場所を感じたくなった…


時折吹く心地よい秋の風が 時間が流れていることを感じさせてくれる

頭の中でいろんなものが繋がっていく感覚

ほんの少し身震いがわたしを襲う


孫たちに会うためにはいくつかの決められごとがあった… それらをひとつひとつ思い出す

わたしが道を外すな、ってのと、関わらなきゃいけない人物が3人いる、ってあまりにも漠然とした情報くらいしか思い出せない…

どれもこれもわたしが同じ様に生きていれば問題ないなんて簡単に言ってたけれど なにが同じなんだかわかるわけないし! でも『多少の誤差は許容範囲』とか言ってたし…(多少ってのが全然わかんないけど)


てか、ごちゃごちゃ考えても仕方ない!

こうして現在いまがあるのも事実なんだし、追体験ってやつ?思い切ってやってみますかっ!!



「⋯⋯⋯って、それにしても中2からって、長くないっ!?!?」


思わず叫ばずにはいられないわたしがいた…


でもまぁ天使が言う『孫たちが誕生するのに最低限必要な分岐点』ってのがこの時代ってことなんだろうし… 一体なにがあったんだろう?中学2年のわたしに…


それでも『やるしかないっ!』と決意したわたしは

一歩ずつ歩き始めた




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