115話 楽しんじゃってる?
◇
「重命せんぱぁ〜い!!」
授業も終わり部室へ向かってる最中にそれは起こった
「あ、土井くん! キミも今から?」
なにもなければ同じ茶道部の部員
二人揃って部室に向かっててもどーってことない
だけど、よく考えれば茶道部のある旧校舎と一年生が入ってる旧校舎は同じ建物…
わたしたち上級生が入ってる新校舎から部室のある旧校舎へ向かう途中で出会うなんて中々ないだろう
「はい! ぼくも今からです! 一緒に行きましょう!」
にこにこしてわたしの横をついてくる土井くん
今日のクラスであった出来事を話してる
まだ少しわたしより背が低くて 幼い顔立ち
わたしは一人っ子だけど なんだか弟がいたらこんな感じなのかな〜?なんて思ったりもする
微笑ましい気持ちにさせられ、なんだかくすぐったい
「あれ? どうかしました、重命先輩?」
おっと、つい土井くんのこと見つめてしまってた
「な、なんでもないっ!! ほら、だんだんと初夏の様相になってきてるなぁ…なんて思って見てたから」
調度中庭を通っていた最中だったので、とりあえず場を取り繕うように周りの木々を見てた風を装う
土井くんも周りの木々を見回してた
ちょっとしたことが楽しいんだよね⋯
土井くんがなにを思ってるかはわかんないけど それでもなんか現在を楽しんでるわたしもいた…




