114話 思案しちゃう
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それからも部活は妙に土井くんを意識してしまうことになってた
意識と言ってもいかに気に入られないようにしようか?なんて考えるのも難しいことを考えてた
気に入られないように意地悪するとかありえないし、できるだけ部長たちに土井くんへの指示を出してもらってわたしはなるべく関わらないようにしていた
それでもたまに感じる視線はやはり土井くんからのものだった…
なんか非常にマズイ…気まずいし…
◇
「マキ!? あのさ、一体どういう情報で土井くんのこと知ったの??」
わたしは事の発端者に今回の件がどういう経緯で耳に入ってきたのかを問いただしていた
「え? なに? そんなのただの噂じゃん? なんかその土井って子が美紗緒の誕生日を聞きまくってるって教えてもらったからさ…」
「で、マキが教えたんでしょ…?」
「うん、まぁ、わたしのとこにその話しが来たからね… なんかマズイの?」
マズイに決まってるんだけど、なにが一番マズイかって言ったらあなたに誤解されることが一番マズイんですけどっ!!!
人の気持ち知らないでマキったら…
「あたしの言った通り美紗緒は年下にモテるんよ♪ よっ! 年下キラー美紗緒ちゃん!」
ダメだ…ほんとに楽しんでる…
もうすぐ誕生日を迎えるわたしは不安になってくる
まさかとは思うけど、ほんとにマキの言ったようなことが起きたら…
なんにもなかったらホントはもったいないくらいの話しなのよね…
もしかしたら後輩の『気になる先輩』になることなんて経験しようとしてもできるもんじゃないからね
だけど、現在のわたしには困ったことでしかないのよ… うまいことやんないと純粋な土井くんの気持ちまで傷つけちゃうことになる
そんなことになったら… んっ? 待てよ?
必死で考えてるこんなことだって、もしかしたら取り越し苦労かもしんないんだよね
だって土井くんから直接なんにも聞いた訳じゃないんだし… マキの言ったことでわたしが勝手に意識してるだけってことも充分あり得るわけだ
⋯なんて、こんなこと考えてること自体が意識しちゃってるんよね…




