106話 めざといマキ
◇
「ねぇねぇ、昨日三人でなに話してたの?」
いつものようにお昼休みマキとお弁当を食べていると この時を待ち侘びていたかのようにマキが話しかけてきた
「ん? なに? なんのこと?」
「とぼけないの〜! ほら、美紗緒と茶道部の先輩と三人で話してたじゃん!!」
あ〜… めちゃめざといな、マキ⋯
茶道部の部室らへんてテニスコートから見えちゃうんだよね…位置的に…
「べつにぃ〜そんなたいした話しじゃないけど?」
「たいしたことじゃないなら言え!」
こういう話しはマキの大好物なんだよね、まぁ広まるもなにもほとんどあの二人は登校しないし、いっか
わたしは大まかにマキに事の経緯を説明した
マキはやはり前のめりになりながら嬉しそうに聞いていた
「へぇー、あの安藤先輩がね… 意外〜!! だって相手はパッとしない森下先輩だもんね〜」
本人を前にしてないからって言いたい放題のマキ
そんな浅いところでしか人を見ちゃダメだよ?
「そういうこと言わないの! ちゃんとお互いの内面見て判断してんだから…」
「はーい… 美紗緒は硬いなぁ〜」
こうやってすぐ調子のいいこと言うんよね、マキ
でもね、この子だってこんな『軽い』や『調子のいい』ばかりじゃないのよね、今までちゃんと向き合ってくれる人がいなかったってことなんだよね…このお調子者が出ちゃうところは…
「それにしても美紗緒って自分は全然そういう話しないくせに 周りは結構盛り上がってるのなー?」
「そうだっけ?」
「竹井だってそうだし、先輩たちもそうだし… まぁわたしもそうだって言えばそうじゃん? それに…」
「それに?」
「なんだかんだ言って美紗緒にも吉田とかあったしなー」
「あれはわかんないじゃん? 変な話しぶり返さないでよね!!」
わたし自身に関しては変な噂広まってほしくないし、ましてやアナタに勘違いされるのだけは絶対に嫌なんだけど!
「まぁまだ誰も美紗緒の抱擁力に気づいてないからなぁ… しばらくはわたしだけのもんだ」
「ちょっと変なこといわないでくれる? わたしは健全に男子が好きなんだから」
美紗緒をからかうとおもしろいと言ってマキはお腹を抱えて笑う
「でもさ、性格的に年下に好かれそうよね? 年下の男の子〜♪ って感じ?」
「そういうの やーめーて!!」
からかうのはいいけどお願いだからちゃんと継人のこと紹介してよね…




