105話 まずは乗り越えなきゃね
「森下先輩つ!!!」
思わずわたしは大きな声を出してた!
「桃香さん!桃香さんっ!!!」
桃香さんの名前を連呼しつつ、森下先輩の顔を上げて桃香さんの方へ向かせた
「も、桃香くん…」
見上げた先の桃香さんは森下先輩に向けて右手を伸ばしていた
「よく言えたね… これが今のわたしの返事…」
森下先輩の表情がみるみる変わってく!
伸ばされた桃香さんの手をぐっと握り締める…
その顔には安堵の表情が浮かんでいた
今度こそわたしはお邪魔むしのようね
さっきみたいに声をかけずにこの場を立ち去ろうとした…
「重綱さん」 そんなわたしを桃香さんが呼び止める
「巻き込んじゃってごめんね… あなたがいてくれて助かったわ わたしも森下くんも大切な時期なのに、彼ったらほんとに不器用で、わたしもこんなの引きずったままじゃなんにも身が入らないって思っちゃってたの… ほんと、言うにしても時期も考えなきゃだよね…?」
桃香さんの表情は なんだかホッとしてるように見えた わたしもその桃香さんの表情を見てホッとした
森下先輩は…また下を向いてなにやらぶつぶつと呟いていた
「それじゃわたしはこれで… 後はお二人でしっかり話し合ってください!」
「ありがとう、重命さん… わたしがいうのも変だけど あなたって不思議⋯ なんて言うんだろう? 説得力があるって言うか、理解力があるっていうか…」
あはは…そりゃ年季がちがうから…なんて口が裂けても言えない
「うん、そうなんだよ、重命さんはね つい『頼ってしまう』タイプなんだ」
森下先輩に頼られるのはなんかやだなぁ…
「森下くん? なに甘えたこと言ってるの? こうして巻き込んでるのだって重命さんに迷惑かけてるってわかってるの?」
「う、うん… 申し訳ない…」
アハハハと三人とも笑った
なんだか結果オーライで収まってわたしもホッとした
部活動って志すものが同じだと理解も早いし深まるもんだな~なんて感じた
「じゃあ今度こそ先に戻ります!」
「うん、わたしたちもすぐに行くから」
「ありがとう、重命さん」
森下先輩、桃香さんを二人きりにしてわたしは部室へと戻ってった…




