104話 どっち?
「桃香くん! 今さらだけどはっきり言わせてほしい!」
桃香さんの方へ向かって力強い口調で話す森下先輩
周りなんて気にしてる様子はいっさいなかった
聞こえてるだろうけど桃香さんはプイと横を向いたままだった…
「恥ずかしいことだけど今重命さんに聞かれて、答えて見て、少し気づけたんだ」
大事なことに気付けたみたいね
あとは、ちゃんと言えますように…
「どうやら僕は、桃香くんと一緒にいたいってこと… どうして一緒にいたいのかはこれからどんどんわかって行くと思う… だから…」
「だから、僕とつき合ってくださいっ!!!」
言ったぁぁぁぁあああ!!
わたしなんかすごい場面に遭遇してない?
思わずわたしが息を呑んでた…
寒風がわたしたちの間を通り抜ける
寒さも忘れるくらいきっとわたしたち三人は興奮してたんだと思う
森下先輩の告白からの沈黙⋯
桃香さんはまだそっぽを向いたままだった
「わたしたち…」
沈黙を破ったのは桃香さんだった
「わたしたちこれからまだ大事な時期よね? 受験だって大切な本番が控えてる…」
「う、うん…」
桃香さんの返事…もうわたしには見守ることしかできないよ…
「余計なことで頭を乱されたくないの…」
「う、うん……」
余計なこと、、、なんだ…
「今はお互い入試に向けて必死になりましょ?」
「う、うん…………」
森下先輩…頑張ったよね…
悲しそうに俯く森下先輩の姿を見ているとなんだかわたしの方が泣けてきた…
「お互い精一杯頑張って、入試が終わったあかつきには、、、 ゆっくり一緒にいよ?」
え? え? え?
ちょ、ちょっと、これってもしかして!?!?
森下先輩っ!!! 驚いたわたしは慌てて森下先輩の方を見た
森下先輩はずっと俯いたまま、目は微かに潤んでいるように見えた




