103話 気づけ森下!
「森下先輩は桃香さんとどうなりたいんですか!?」
わたしは森下先輩の方へ向いて少し語気を強めて聞いてみた
「ど、どうって、僕の部長への想いがなんなのか知りたいんだよ」
「それじゃあホントに友だちからでいいんですね?」
「部長がそれでいいって言うなら、そうなんじゃないのかな…」
桃香さんはそっぽを向いてしまってる
高校生活、残された時間の少ない二人のために少しわたしが頑張ってみるか!
「さっき桃香さんも言ってたように、森下先輩のいいところを桃香さんはいっぱい見てくれてるんじゃないですか!? そんなに森下先輩のいいとこいっぱい言える人なんていませんよ!?」
あ、またひどいこと言ってるかも…わたし
これも二人のため!!!
「じゃあ森下先輩は桃香さんのどういうところが気になってるんですか?」
わたしは敢えて桃香さんの方を見ながら森下先輩に質問してみた 少し桃香さんがピクっと反応したのが感じ取れた
「そ、それは部長は面倒見もいい、誰にも優しいし、茶道への愛情も深いし、所作も美しいし、なにより…」
そこまで言って森下先輩は俯いてしまった
言葉が出ないのか、出せないのか…
「なにより… ぼ、僕に優しいんだ…」
小さな声だったけど、わたしにも桃香さんにも聞こえていた
「うん、そうだ… 優しいんだ、桃香くんは…」
自分に言い聞かせるようにつぶやく森下先輩
部長呼びじゃなくなった! もう大丈夫かな?
「重命さん ありがとう…」
わたしの方を向いてお礼を言う森下先輩
なんだかちょっと凛々しくなった?




