101話 やりとり
「い、いつから…?」
あまりの驚きに声が裏返ってた森下先輩
腰に手をあてて呆れた表情を見せる桃香さんの視線は冷ややかに見えた
「お茶会の途中で後輩をこっそり連れ出して行くなんて大胆ね? 森下くん?」
桃香さんを目の前にして急に伏し目がちになる森下先輩 わたしに対する態度と全然違うんですけど?
でもまぁ、そうなるのも無理ないか…
桃香さんは女のわたしが見ても綺麗だしお淑やかだし気品があるし…
「ち、ちがうよ… 僕はただ重命さんに報告をしたかっただけなんだ」
「でしょうね、だけどこんな話し聞かされても重命さんに迷惑なだけだわ?」
二人の会話に入ることなんてできないわたしは
ただ黙って二人の会話を聞いていることしかできなかった
「森下くんの問題であっても森下くんだけの問題じゃないことくらいはわかるよね?」
うん、桃香さんの言うこと合ってる
「わかってる、だからこうして重命さんにも聞いてもらおうとしてた」
・・・本気で言ってるの?森下先輩…
「ほらね、なんにもわかってない… 重命さんは関係ないでしょ? こんなのわたしとあなたの問題じゃない? そういうとこなのよ…」
これは相当呆れてるな、桃香さん…
そりゃ森下先輩にしたら目も合わせらんないよね
ずっと俯いてるし…
「森下くんは茶道に愛情があって、男性のわりに物腰も柔らかくて、所作にも気品があって、優しくて、面倒見もよかったりするけど、ほんとそれだけね…」
それだけね?って言う割にはわりと褒めてません?
桃香さん…
「わたしの言った言葉の意味なんて理解できないはずだわ…」
「部長が言った言葉の意味くらいわかるよ、だから再度確認のためにこうして重命さんに聞いてもらってたんだし…」
イライラしてるように見える桃香さんの表情
対してオドオドして見える森下先輩…
わたしはいったい何を見せられてんだ!?




