100話 ふたりの関係
「部長は、僕のことは尊敬してると言ってた 茶道に対する知識も所作もなにもかも素晴らしいって」
ふむふむ、ちょっと前置きから始まるのが気になるな…
「部長としてのわたしの立場をサポートしてくれたり、とても助かってるとも」
茶道部のことしか言わないってのも気になる…
「あなたの気持ちはとっても嬉しいし、ありがたいって言ってくれた」
・・・・・
「だから、これからは茶道部の部員同士じゃなくお友達から始めましょ?と言われた」
・・・・・やっぱり… やんわりだけど断ってるのか…
「これって進展してるんだろうか?」
えっ? も、森下先輩・・・? 本気で言ってんの?
「重命さんの忌憚のない意見を聞かせてほしいと思ってね」
ちょっと、これ説明させる? それって酷すぎない?
この後もお茶会あるのに… めちゃめちゃ気まずくなんないかな…
「重命さんの感じたままの意見でいい…」
上目遣いでなにかをねだるかのように見える森下先輩の表情にわたしの胸は締め付けられる
だって、だってよ? わかりそうなもんじゃん?
『ごめんなさい』をわたしに説明させるって、ものすごく【М】なの…? 森下先輩…
まだ大学受験も残ってるんだし やさしく説明したげないとね…
「桃香さんは『お友達から』って言ったんですよね?」
黙ってこくりと頷く森下先輩…
「お友達ってことは たぶん、いやきっと一からってことだと思うんです つまり『ふりだしに戻る』みたいな…?」
ふんふん、と頷きながらわたしの話したことを理解しようとしている森下先輩
「友だちから重ねて行ってどうなるかわからない未来って感じなんだと思うので」
ううう…まどろっこしい…
「つまり、まだしばらくは友だちでいたいってことなのかな?」
なんだか埒が明かないような気がしてきた
「そもそも森下先輩は桃香さんになんて言ったんですか!?」
「もちろん、僕の気持ちをハッキリさせたいので協力してくれないか!だよ!」
・・・・・ 森下先輩は本気なのよね…本気でそう思っててバカみたいに正直に桃香さんに伝えたんだよね… そりゃ桃香さんも返事に困るわ…
「僕はいったい部長のなにに対して惹かれてるのか、そもそもそれはなんなのか、、、」
「はいはいはい、もういいですから! わかりました!! だから桃香さんもああ言うしかなかったんですよ? 知りたいなら友だちからって言うしかないじゃないですか?」
「そういうもんなんだろうか…」
『 そういうことでしょ? 重命さんの方がよほどしっかりしてるようね? 』
ええっ!? その声にわたしと森下先輩は驚いて振り返った!!




