その程度で怒ってるつもりかね?
ウチのハスキーが言う事には
〈それで怒ってるつもり?褒めてるよね〉
ウチの女帝が若かりし頃は、そりゃー凄まじかった。
何が凄まじいって、散歩は暴走!突進!キャッハー!!のアゲアゲ状態で、
飼い主に寄り添って歩くどころか、振り向く事もしなかった。
側歩?って言うのかな、飼い主の左側にくっついて、常に飼い主を見ながら歩く。
そこを目指し努力はした。色々とやった。
オヤツを見せながら歩く→そんなモンいらんわ!と走り出す。
右に行ったり左に行ったりを繰り返し、犬が飼い主について来るようになってから散歩を始める。→こっちに行くんだな!と理解した途端、走り出す。
リードを短く持って、両手で引きながら歩く→ずううううううっと引かなきゃいけないので、飼い主の腕力が続かない。
走りだそうとしたら、犬の後ろ足を蹴って払う→華麗に避けて、更に走り出す。
ヤツに、飼い主に合わせて歩くと言う思考は、カケラも育たなかった。
そんなに走りたければ、走って疲れろ!と方針を変え、自転車散歩に切り替えた。
(当時、道路交通法に自転車並走の規制は無かった)
〈犬が飼い主を見ながら歩く〉そんな日は、ウチには来ないな。
ハスキーだしな!前しか見てないしな!
時には前も見てないで走り、そのまま電柱にぶつかるしな!と、諦める事2年。
ある日、女帝はガンガンに走りながら、いきなり自転車の前を横切った。
歩道の植え込みに激しく突っ込む私………コイツわぁ……
「真っ直ぐ走れって言ってるだろうがぁ!!横切るんじゃないっ!!フセ!!」
ブチ切れた私は、手ではなく持っていたフレキシブルリードでゴッツん!!と、
いや、ガゴン!!と、ゲンコツを落とした(殴ったレベル?)
大人しくその場で〈フセ〉をした女帝ハスキー。
おおー、初めて散歩中にフセしたわ。(オスワリはしても絶対にフセはしなかった)
更に、薮に突っ込んだ自転車を拾い、トボトボと歩き出した、ら
あの女帝が!幾ら怒ってもガン無視してた女帝が!前進しかしないヤツが!
私の顔を見ながら、振り向きながら!歩いてるぅううー!!
苦節2年!初めて〈犬が飼い主に合わせて歩く散歩〉が実現した。
そっかぁー。犬が振り向きながら歩くと、こんなに楽なのかぁ。
そっかぁー。流石に痛かったかー。初めての全力ゲンコツだったもんねぇ。
ふーん。そーう。
ここまで怒らないと、言う事聞かないんだねー、君は。
今までの〈ダメですよー。お尻ぺチン!〉なんて、屁とも思ってなかったんだな。
流石にね、命の危機の時は怒るよ。全力でな!!
っつーか、命の危機レベルの強さで怒らないと、言う事聞かんのか…。
ちょっとやそっとリードで引かれた位、ナンっとも!思ってなかったんだな。
脱力…………。
数年後、ハスキーが2頭になった時、再び警察犬訓練所に通った。
「犬は叩いて褒めましょう」とバンバン!シェパの背中を叩いている先生。
「叩く?撫ぜるじゃなくて」
「犬は背中も毛が一杯だから、撫でた位じゃ気づかない。
一杯褒める時は、コレ位の強さで叩いて丁度いい。
一杯叩いて、一杯褒めてあげて」
先生、その強さで叩いたら、自分の手首が痛いです。無理ですー。
あ
私が毎日、ダメでしょー!と背中をペチンとやってるのは褒めてるレベル???
犬には痛くも痒くもなく、気持ちよく撫でられてる感じ???
がぁーーーーーーーーん!!!
私の怒りは、殴る位の強さじゃないと伝わらないんだ。
そうですかーーーー。叱り方が甘いですかーー。
身体弱いんですけどーーーー。
腕力握力無いんですけどーーーー。
怒る前に、自分の身体が壊れそうなんですけどーーーー。
20年後。女子ハスキーがドッグランで、よそ様の犬のおもちゃを横取りした時、
16キロの身体を抱え上げ、地面に叩きつけて押さえつけて、
ギャンギャン喚くのを無視して「ノー!」と怒った。
周りドン引き。「ハスキーの飼い主、こえぇー」と囁かれもした。
が、
解放した途端、あのバカは再度、他の犬に突進して行った。
耳元でドッグランに響き渡る位の大声で「ノー!」と言われた位じゃ、
聞いてねー、凹んでねー、反省してねー。
かと言って、殴るわけにも蹴るわけにもいかない。
なんせ、この子は人間不信の真っ最中。
〈人はアナタを攻撃しませんよー〉を教えている時期だった。
体罰ダメ!絶対!!なので、これ以上の改善は無理だと判断し、
自主的にドッグラン出禁に。犬の社会性を育てたかったんだけどなぁ。
本気で犬を怒る時は、全力で!チビる位の大声で!!
命の危険を感じる程の圧力を!
それでもダメなら踏んでみる???
ウチのハスキーズは、ちょっとやそっと踏まれたって、即復活!
本気で蹴られないの、判っていたんでしょうねぇ。飼い主が甘いから。
これでもな!躾はスパルタだけどな!
それ以外は、至れり尽せりのお嬢様待遇ですから。