俺、小森は学校に着いたとき、事件が起きたことを知った。
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「今から朝礼を始めるわけだが、……まず今朝、田中の机に牛蒡が植え付けられていた。いや、突き刺さっていたことは皆知っているよな。何か知っている人か犯人は自分だと名乗れる人はいないか?」
そう、2年E組の前から2列目窓側から4列目の田中の机を牛蒡が天板を貫いていたのである。あまりにも怪奇な現象、しかも普段からクラス自体も平和で田中も虐められるような性格はしていない。それだけの条件もあり、担任の教師も戸惑っている様子である。しかし、そんな空気をぶち壊すように1人の女子生徒が手を挙げた。
「先生!その犯人は私です!」
そう言ったのはクラスメイトであり、友人でもある『高坂花恋』だった。彼女は自信満々に発言したのだが、他の生徒は自分も含めて誰も信じていなかった。ただ、真面目な彼女のことである。自分を犠牲にしてでも早々に今回の件に関して決着をつけ茶番劇ともとれる様な朝礼を終わらしたかったのだろう。それか、朝から起きた超常的な情景を忘れたかったのだろうか。とにかく彼女にとってはこの場を乗り切ることが一番の目的なのだ。
そして俺は席を立ちあがり、彼女の前に立った。
「俺だ」
俺の発言により教室内がざわついた。それもそうである。いきなり俺のような冴えない男が出てきてこんな馬鹿げた状況を作り上げたと言ってのけたのである。
もちろん、自分が犯人ではない自分が来た時には他に人も居たし、その時には刺さっていた状態だ。ただ、友のために、
「馬鹿言わないで、あなた私よりも遅く着いて自分が犯人ってもう少しまともな嘘をつきなさい。」高坂は怒り眼でこちらを見て言った。
「あぁー、もうこの際どっちでも良い。とりあえず、高坂と小森は昼休み休憩に職員室に来い。また、ほかの生徒からも情報提供を待っている。」こうして朝の事件は終了した。