第35ターン『ハロウィーンモーニング』
巫一色、彼は空崎千棘という強敵に勝利した。
長きに渡る接戦の末にようやく掴んだ勝利に、巫は感極まっていた。
「巫って、やっぱ噂通り強いんだね」
「まあな。たまたまだよ」
「でも、次は絶対勝つんだからね」
「さすがに次は負けるかもな。だが戦うからには全力で行くよ」
「うん」
巫と空崎の決勝戦は終わった。
勝者は巫。つまり優勝したのは巫一色ということになった。
今回の大会、優勝者にはある景品が与えられる。それがーー
「巫一色。まさか君が優勝するなんてな」
そう言って現れたのは、世界ランキング1位であり、巫一色の師匠ーー天崎召部。
「天崎!?」
「巫、優勝おめでとう。さすがは私の弟子だよ」
そう言って、天崎は一枚のカードを巫に渡した。
そのカードは『紅蓮皇獣イフグリード』。序列上の火属性召喚獣。
「もうすぐ私を倒せそうか?」
「まだもう少しだけ、時間がかかりそうですね」
「そうか。だが無理だとは言わない辺り、成長しているな。お前は」
最初の頃とは、確かに巫は変わっていた。
その目には確かな執念が、そして明確な目標があった。
彼には追いかけるべき目標と、果たすべき野望があった。だから彼は、いつか必ず天崎を倒すと、そう決めていたのだ。
「いつか必ずあなたに勝ちます」
「楽しみだね。いつか、その日が来るまで」
天崎は微笑む。
これにて今宵の大会は終わった。
「それじゃあな。巫」
「さようなら。天崎」
天崎は帰っていった。
巫もまた、メアリーとともに家へと帰る。
帰り道、メアリーは巫に問う。
「なあ巫、お前はいつか世界ランキング1位の天崎を本気で倒そうとしているのか?」
「はい」
冗談ではない。
それは巫の真っ直ぐな目を見れば一目瞭然だった。
「分かったよ。なら私はお前に期待することにした。だから私がお前のそばにいる間、徹底的に鍛えてやる」
「良いんですか!?」
「その代わり、勝てよ。一色」
「はい。勝ちます」
それから始まった。
巫とメアリーの、短いながらも世界ランキング1位へ挑むための修行が始まった。