表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Summoned Beast and Magic  作者: 総督琉
白色シーズン《ハロウィーンナイト&モーニング》
34/38

第33ターン『やがて決勝戦が始まる』

 準決勝で勝利に、残るは決勝戦となった。


「朝比奈楴、凄く強いデッキだったな。必殺技を使われた時は負けるかと思ったよ」


「ありがとうございます。世界13位の人に言われると嬉しいです」


 楴は嬉しそうにしていた。

 楴は実際、俺をあと一歩まで追い詰めている。それほどまでにこの男は強かった。


「師匠。私の自慢のお兄ちゃんを倒しちゃうなんてさすがですね」


「かなり接戦だったがな。あそこで『サクリファイス』の魔法が引けていなかったら負けていたよ」


「じゃあやっぱり私のお兄ちゃんは強いんだね」


 暝は終始楽しそうにしている。


「師匠、私のお兄ちゃんを倒したんですから、この大会、必ず優勝してくださいよ」


「ああ。任せろ」


 とは言ったものの、準決勝でこれほど苦戦し、決勝ではどれほど苦戦するのか緊張で疲弊していた。

 俺の次なる相手はまだ決まっていない。向こうの戦いはかなり長引いている様子だった。


「なあ暝、向こうの戦いは今何ターン目だ?」


「今はもう16ターンは続いているかな」


「20ターン!?」


 さすがの長さに俺は驚いていた。

 20ターンも続いている。それはどちらも強い、ということに他ならない。


「けど、そろそろ決着が着くと思うよ」


 空崎千棘VS幕末平家の戦い。

 お互いに直接攻撃をすれば四回受けており、先に直接攻撃をした方が勝ちという接戦までもつれ込んでいた。


 現在幕末平家のターンであり、彼の召喚獣は三体。手札は二枚。

 対して空崎は召喚獣一体、手札は二枚とやや劣勢に置かれていた。


「勝敗はほぼ決しているな。幕末の方が優勢だ」


 暝はそう呟く。


 確かに現状は幕末が有利であった。

 だが空崎という少女、彼女の目はまだ死んでいない。まるで勝利を確信しているかのような、そんな目だ。


 幕末は序列上の召喚獣で攻撃する。

 その際、空崎は魔法を使用した。


「防御魔法『ゼロシールド』を使用」


『ゼロシールド』

 序列上、氷属性

 効果:自分の召喚獣全てを破壊することで、このターンの間、自分は直接攻撃を受けても無効化できる。


 戦場にいた『ヒノコ』は破壊される。

 それにより、幕末の直接攻撃は無効化された。


「タイムエンド」



 このターンを凌ぎ、とうとう21ターン目。

 勝利を確信しているのか、空崎は微笑んでいる。


「来た。私の最強の召喚獣。『リザードマン』を召喚」


「『リザードマン』?」


 さすがに皆首をかしげる。

『リザードマン』は序列中の召喚獣であり、その上それほど強くない。それが最強の召喚獣でここまで生き残ったというのだろうか。


「ここで決めるよ」


「いいや。無理だ」


 空崎の手札は残り一枚。そして戦場には召喚獣は『リザードマン』だけ。

 しかし幕末の手札は三枚で、その上動ける召喚獣が二体もいる。ここで仕留められるとは思わないが……


「決めるさ。強化魔法『覇王継承』を使用」


『覇王継承』

 序列上、火属性

 効果:火属性の召喚獣一体を指定し、"覇王"の効果を付与する。

 覇王の効果:この召喚獣は、相手の召喚獣を破壊する度回復する。


「その手があったか……」


 その魔法の使用により、『リザードマン』は破壊されるまで、もしくは直接攻撃をするまで回復し続ける獣となった。

 このタイミングでその魔法、それは幕末を唸らせた。


 生憎、幕末の召喚獣は二体とも防御力が『リザードマン』の攻撃力よりも劣っている。


「バトルタイム。『リザードマン』で攻撃」


「くそ。ここまでか……、直接受ける」


 よってこの勝負、空崎の勝利。

 つまり俺の相手は空崎という不思議な少女となった。


「空崎……」


 そういえばどこかで聞き覚えのある名前だが、一体どこで聞いた名だろうか。

 それにあの顔、どこかでーー


 空崎は俺のもとへとやって来た。


「あなたと戦える日を待っていましたよ」


 空崎は満面の笑みで俺にそう言ってきた。

 やはりこの少女、どこかで見覚えが。


 必死に思い出し、そして思い出した。

 この少女とは一度、カードショップで会っている。まさかその少女とこんな感じで会えるとは。


「久しぶりですね。まさかあなたが世界ランキング13位だったとは驚きましたよ」


「俺も、あの時の少女がここまで強いとは思わなかったよ」


「必ず勝ちますよ。あなたの期待に応えるために」


「楽しみだ。まあ、勝つのは俺だが」


 決勝戦、開幕。

 ハロウィーンの夜に、最後のバトルが始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ