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Summoned Beast and Magic  作者: 総督琉
白色シーズン《ハロウィーンナイト&モーニング》
33/38

第32ターン『復活の兄』

 準決勝。

 ここまで生き残ったのはわずか四人。


 勝ち残っているのは巫一色、朝比奈楴、空崎千棘、幕末平家の四名。

 その四人の対戦カードが発表される。


 巫一色VS朝比奈楴、空崎千棘VS幕末平家



「俺の相手は朝比奈楴か」


 俺は聞き覚えがあった。

 朝比奈、その名は確か、弟子の朝比奈暝と同じ姓。

 まさかなと思いつつ、俺は対戦相手の朝比奈楴が待つ対戦場所まで移動する。そこには朝比奈楴と思われる男がおり、その背後には朝比奈暝が立っている。


「お兄ちゃんの次の対戦相手はあなたでしたか。師匠」


「なるほど。やはり俺の次の対戦相手はお前の兄か」


「そうですよ。私のお兄ちゃんは世界一なんです。だからお兄ちゃん、師匠を倒してくださいね」


「さすがに……。だってあの人世界ランキング13位の人でしょ」


 兄は弱気になっている。

 そんな楴の背中を暝は思いきり叩いた。


「お兄ちゃん。それでもお兄ちゃんはお兄ちゃんなのですか。お兄ちゃんはもう少し自分に自信をもってよ」


「そう言われてもな……」


「勝ってよ。昔みたいに強いお兄ちゃんを見せてよ。可愛い可愛い、(いもうと)に」


 楴は自信はそれほどない様子だが、それでもさっきよりかは少し自信を得ている様子だった。


「別に、勝てるかは分からないけど、まあ全力で行く」


「さすがはお兄ちゃん。頑張ってね」


「たとえ相手が誰であろうと、俺はこの手で立ち向かう。もう逃げたりなんかしない」


 楴は自分のデッキを戦場に置いた。

 それに合わせるように、俺もデッキを戦場に置く。


「それでは始めるか。勝負を」



 先攻は楴になった。俺は後攻。


 1ターン目


「『ドロー4』。この魔法によりデッキから四枚ドロー」


『ドロー4』

 序列上、無属性

 効果:自分のデッキから四枚ドローする


「いきなり四枚ドローかよ……」


「運が味方しているな」


 楴は少しずつ自信を取り戻しつつあった。


「『フレイムタウロス』、並びに『サーペント』を召喚」


『フレイムタウロス』

 序列中、火属性

 攻撃力7000、防御力4000


『サーペント』

 序列中、水属性

 攻撃力5000、防御力6000


「やはり多属性デッキか」


「多属性デッキは俺の得意分野ですから」


 多属性だからこそ、相手の動きは読みづらい。

 多属性であるということは、たったひとつの属性に気を配るだけでなく、全ての属性に対して気を配る必要がある。

 そのため、相手にするにはやりづらい。


「タイムエンド」




 2ターン目


「『火の鳥』を召喚。タイムエンド」


『火の鳥』

 序列下、火属性

 攻撃力4000、防御力3000


「次に戦場魔法『炎上網』を設置」


『炎上網』

 火属性、序列中

 効果:戦場にいる火属性の召喚獣一体につき、火属性の召喚獣の攻撃力を+1000する。


「タイムエンド」




 3ターン目


「『サンダートライアングル』と『フォックス』を召喚」


『サンダートライアングル』

 雷属性、序列下

 攻撃力4000、防御力4000


『フォックス』

 光属性、序列下

 攻撃力3000、防御力4000


 現在、戦場には火属性、水属性、雷属性、光属性の召喚獣がいる。

 その上相手の召喚獣は『フレイムタウロス』『サーペント』『サンダートライアングル』『フォックス』の四体。

 対してこちらは『火の鳥』のみ。


「いきなり追い込まれたかよ……」


「行かせてもらうぞ。『フレイムタウロス』で攻撃」


「そう来るよね。でもそう来るって分かっていたから、対策していないはずがないだろ。攻撃魔法『バーニングレイ』」


『バーニングレイ』

 序列上、火属性

 効果:攻撃力10000以下の相手の召喚獣全てを破壊する


 その魔法により、楴の召喚獣は全て破壊された。

 先ほどまでいた四体の召喚獣は、序列上の攻撃魔法によって破壊された。


「まだ3ターン目でそれを出しますか」


「ここまで追い込んだのはお前だろ。このつけは必ず払ってもらうぞ」


 それを聞き、楴は少し嬉しそうだった。


「そうですか。俺が、あなたを追い詰めた……のですね」


 楴は闘志に満ちていた。

 今の彼なら、きっと巫すらも倒してしまうだろう、そんな予感がしてならない。


「タイムエンド」




 4ターン目


「『ドロー3』。デッキから三枚ドロー」


『ドロー3』

 序列中、無属性

 効果:デッキから三枚ドローする


 手札補充の魔法。

 これで良いカードを引けるかどうかだが……


「『フレイムタウロス』を二体召喚」


『フレイムタウロス』

 序列中、火属性

 攻撃力7000、防御力4000


 そして既に設置していた戦場魔法『炎上網』の効果により、自分の全ての召喚獣は攻撃力+3000。


「バトルタイム。『フレイムタウロス』二体で攻撃」


「ここは……直接受ける」


 一瞬他の手を使おうとしていたみたいだが、それを先送りにし、直接受けることを選んだ。

 おかげで俺は直接攻撃を二回することができた。



「タイムエンド」


 防御できる召喚獣に『火の鳥』を残し、ターンを終えた。




 5ターン目


「『サンダートライアングル』を召喚


『サンダートライアングル』

 雷属性、序列下

 攻撃力4000、防御力4000


「続けて戦場魔法『属性神殿』を設置」


『属性神殿』

 序列中、無属性

 効果1(多属性):この戦場魔法は何属性にも変化することができる。

 効果2(属性の裁き):自分の召喚獣が異なる属性の召喚獣を破壊した時、自分の召喚獣全ての属性と異なる相手の召喚獣を一体破壊する。この効果は1ターンに一度のみ発動可能。


「多属性用の戦場魔法か……」


「まだまだだ。次に『ヒノコ』を召喚」


『ヒノコ』

 序列下、火属性

 攻撃2000、防御力2000


「バトルタイム。『サンダートライアングル』で攻撃」


「防御魔法『アンダーシールド』」


『アンダーシールド』

 序列下、無属性

 効果:このターンの間、序列下の召喚獣の攻撃では直接攻撃を受けない。


「直接受ける、が、その攻撃で俺は負傷しない」


「タイムエンド」




 6ターン目


 そろそろここで差をつけたい。


「とうとうお出ましだ。『赤甲獣カッコウ』を召喚」


『赤甲獣カッコウ』

 火属性、序列中

 攻撃力8000、防御力5000

 特殊効果:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全ての攻撃力を+2000する。


「行くぞ」


 俺の召喚獣は『火の鳥』と『フレイムタウロス』が二体、『赤甲獣カッコウ』の合計四体。


「『火の鳥』で攻撃」


「攻撃魔法『序列爆爆』を使用」


『序列爆爆』

 序列中、無属性

 効果:自分の召喚獣を一体破壊することで、その召喚獣と序列が同じ相手の召喚獣を破壊する。


「『ヒノコ』を破壊する。『ヒノコ』の序列は下であるため、その序列と同じ『火の鳥』を破壊する」


 これで『火の鳥』の攻撃自体がなくなった。


「まだだ。『フレイムタウロス』でーー」


「ーー防御魔法『ストライクシールド』」


『ストライクシールド』

 序列中、無属性

 効果:このターンの間、序列上以外の召喚獣の直接攻撃を受けない。


「つまりこのターン攻撃しようとも、俺は直接攻撃はされない。攻撃してきても良いんだけどね」


「タイムエンド」




 7ターン目

 防御魔法によってこのターンを凌がれた。

 それにより、未だ直接攻撃回数は増えていない。


 この相手のターンを凌げば、次で一回くらいは直接攻撃を行える。


「『サーペント』と『ホーリーナイト』を召喚」


『サーペント』

 序列中、水属性

 攻撃力5000、防御力6000


『ホーリーナイト』

 序列中、光属性

 攻撃力7000、防御力3000


「そして『エレメントドロー』」


『エレメントドロー』

 序列中、無属性

 戦場にいる全ての召喚獣の属性の種類だけデッキからカードをドローできる。


 現在戦場にいる召喚獣の属性数は火、水、光、雷の四つ。

 それにより、楴はデッキから四枚ドローした。それにより、楴の手札は四枚になった。


 そこで良いカードを引いたのか、楴は不敵に微笑む。


「来た。多属性デッキならではの召喚獣。13位さん、覚悟は良いですか」


「来い」


 楴は一際輝くカードを戦場に召喚する。


「三つの属性を司りし召喚獣よ。今戦場に現れよ。『水光雷神タテガミ』を召喚」



『水光雷神タテガミ』

 序列上、水光雷属性

 召喚条件:自分の水、光、雷属性の召喚獣が一体ずつ以上戦場にいる時

 攻撃力15000、防御力15000

 特殊効果1(タテガミ):相手の召喚獣を破壊した時、更にもう一体破壊する。

 特殊効果2(属性強化):戦場にある属性ひとつにつき、自分の召喚獣の攻撃力を+1000する。

 必殺技:???



「ここに来て……序列上の、召喚獣」


 召喚条件が厳しいからこそ、この召喚獣は恐ろしい。

 序列上の召喚獣。この召喚獣の強さはいかに……。


「では行きますよ。行け、『水光雷神タテガミ』」


 たとえこの召喚獣の攻撃を受けたとしても、まだ『サンダートライアングル』『サーペント』『ホーリーナイト』の三体が残っている。


「ここは……直接受ける」


「続けて『ホーリーナイト』で攻撃」


『ホーリーナイト』の攻撃力は7000。そこに戦場の属性数は四つのため、+4000される。

 つまり攻撃力は11000と、もはや序列上の召喚獣並みの攻撃力を有している。


 直接受けようとするが、ここでむやみに攻撃を受けるわけにはいかない。


「仕方ない。ここは『フレイムタウロス』で防御する」


『フレイムタウロス』の防御力は4000のため、あっさりと破壊される。


「タイムエンド」


「もう良いのか?」


「はい。あなた相手に無策に攻撃すれば深手を負う可能性があるので」


 楴はタイムエンドを選んだ。




 8ターン目

 現状の戦況は五十歩百歩。どちらかが不利でも有利でもない、いわば沈黙の状況。

 しかし既に相手に序列上の召喚獣が出ている以上、必殺技に警戒をしなくてはいけない。だがその効果が不明のため、ここはどう対策をとるかだが……


「ドロータイム」


 引いたカードは『ダブルフレイム』。

『ダブルフレイム』は攻撃力6000以下の相手の召喚獣二体を破壊するというものであるが、相手の召喚獣は全て攻撃力+4000されているため、どの召喚獣も破壊できない。


 ーーさあ、どうする。


 俺は『リザードマン』を召喚する。


『リザードマン』

 序列中、火属性

 攻撃力6000、防御力5000


 これで俺の召喚獣は『赤甲獣カッコウ』『フレイムタウロス』『リザードマン』の三体。


 攻撃するのも良いが、ここで仕留めきれないというもの事実。

 だが攻撃しなければ勝てない。


「バトルタイム。『赤甲獣カッコウ』で攻撃」


「直接受ける」


「続けて『リザードマン』で攻撃」


「なるほど……。まあ良いか。『サンダートライアングル』で防御」


『リザードマン』は『サンダートライアングル』を破壊する。

 これにより、戦場の属性は三つになった。


「タイムエンド」




 9ターン目

 相手のターン。


「ここは……『ボルボルト』を召喚」


『ボルボルト』

 序列中、雷属性

 攻撃力6000、防御力6000


「次に『ドロー2』によりデッキから二枚ドロー」


 それを引き、楴は微笑む。


「バトルタイム」


 相手の召喚獣は四体。

『サーペント』『ホーリーナイト』『ボルボルト』『水光雷神タテガミ』。

 だが俺の動ける召喚獣は一体のみ。


「ここで決める。バトルタイム、『必殺技発動魔法』を使用」


「ここに来て必殺技……」


「発動させるのは『水光雷神タテガミ』の必殺技」


 さあ、どんな必殺技だ。


『水光雷神タテガミ』

 必殺技(発動可能時:自分のバトルタイム時)

 属性束縛・魔:このターンの間、戦場にある属性の魔法は使うことができない。


「何!?」


 相手の戦場魔法『属性神殿』、それはどの属性にもなることができるという効果を持っている。

 そのため、この必殺技ではどの属性の魔法も使えないということになる。


 魔法を使えない、ということはこのカードゲームにおいて、心臓にナイフを突き立てられているようなものだ。

 ーーまずい。


 俺が直接攻撃を受けられる回数は残り四回。

 相手の召喚獣は四体、対して俺は動ける召喚獣が一体。


「行きますよ。『水光雷神タテガミ』で攻撃」


「直接受ける」


「続けて『ホーリーナイト』で攻撃」


「『フレイムタウロス』で防御する」


「『サーペント』『ボルボルト』で攻撃」


「どちらも直接だ」


 総攻撃により、俺は三回の直接攻撃を受け、その上一体の召喚獣を失った。

 かなりの深手を負うことになった。


「タイムエンド」




 10ターン目

 俺はあと二回直接攻撃をすれば勝てるわけだが、総攻撃をしてきたということは、このターンを凌ぐ策があるのだろう。

 ならこのターンで決めさせてはくれないか。

 ーーいや、決めなければ。


「行くしかない。魔法『ドロー2』により、デッキから二枚ドロー」


 引いたカードの片方は、俺が待っていたカードだった。


「行ける。このターンで勝つ」


 俺の召喚獣は『赤甲獣カッコウ』と『リザードマン』、そしてーー


「来い。俺の相棒。『赤甲火獣グレンカッコウ』を召喚」



『赤甲火獣グレンカッコウ』

 火属性、序列上

 召喚条件:自分の火属性の召喚獣が戦場に1体以上いる時

 攻撃力:12000、防御力:9000

 特殊効果1:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全てを攻撃力+3000する。

 特殊効果2(紅蓮):この召喚獣の攻撃で相手の召喚獣を破壊した時、その召喚獣と序列が同じ召喚獣を破壊する。

 必殺技(発動可能時:バトルタイム)

 紅蓮灼熱砲:攻撃力18000以下の相手の召喚獣を破壊する。



 これで俺の召喚獣は三体。

 二回の直接攻撃をすれば勝てる。


「バトルタイム。進め、『赤甲火獣グレンカッコウ』」


「回復魔法『回復(ヒール)』」


『回復』

 序列中、無属性

 効果:自分の召喚獣一体を回復させる。


「この魔法により、『水光雷神タテガミ』を回復。そしてその攻撃は『水光雷神タテガミ』で防御する」


 だが『赤甲火獣グレンカッコウ』の攻撃力は12000+3000+3000で18000。

 対して『水光雷神タテガミ』の防御力は15000。


「倒せ。『グレンカッコウ』」


「いいや、まだだ」


 楴は残り三枚の手札の内、二枚を使用する。


「強化魔法『プラスアーマー』」


『プラスアーマー』

 序列下、無属性

 効果:自分の召喚獣一体の防御力を+2000する


 それを二枚使用する。

 つまり『水光雷神タテガミ』の防御力は+4000。

 15000+4000で19000。


「貫け。『タテガミ』」


『赤甲火獣グレンカッコウ』は破壊される。

 それでもまだ攻撃は終わらない。


「まだだ」


 楴の手札は一枚。

 ならここは攻める他ない。


「バトルタイム。『赤甲獣カッコウ』で攻撃」


「直接受けるーー」


 そしてすかさず、楴は残り一枚の手札を使用し、魔法を発動させる。


「『フリーズドライ』」


『フリーズドライ』

 序列上、氷属性

 効果:このターンを終了させる。


「このターンは終了だ」


「いいや。なんとしても、このターンだけは終わらせない」


 ーー天崎、あなたから貰ったこのカード、使わせていただきますよ。


「魔法発動。『サクリファイス』」


『サクリファイス』

 序列上、光属性

 自分の召喚獣一体を破壊することで、相手の魔法を無効化する。この効果で魔法を無効化した時、破壊した召喚獣で攻撃し、その後その召喚獣を墓地に送る。


「お前の手札はゼロ枚。この魔法は防げない」


「くっ……、ここまでですが」


「『リザードマン』を破壊し、魔法を打ち消し、『リザードマン』で直接攻撃」


「参りました。やはりあなたは強いですね。妹が心底惚れるはずですよ」



 この勝負、俺の勝利。

 接戦の末に、俺はなんとか勝利した。

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