第30ターン『やがて朝が来る』
巫一色VS朝井離国
1ターン目
先攻は相手の朝井からだ。
「『海に眠る巨人』を召喚」
『海に眠る巨人』
序列中、水属性
攻撃力5000、防御力6000
特殊効果1(眠り):この召喚獣は召喚してから3ターン、仮眠状態のまま動けない
特殊効果2(目覚め):この召喚獣が攻撃した時、この召喚獣の攻撃を防御しなかった召喚獣を一体破壊する
「タイムエンド」
2ターン目
どうやら相手が召喚したのは3ターンは動けない召喚獣らしい。
ならこのターンは攻め時か。
「『ヒノコ』を二体召喚」
『ヒノコ』
序列下、火属性
攻撃力2000、防御力2000
「バトルタイム。『ヒノコ』で攻撃」
「防御魔法『水流壁』」
『水流壁』
序列中、水属性
効果:このターンの間、火属性召喚獣の攻撃は全て無効化される。
その効果により、この『ヒノコ』の攻撃では何もすることができなかった。
それにより、このターンは『ヒノコ』が一体仮眠状態に入るだけでタイムエンドとなった。
3ターン目
「戦場魔法『海底神殿』を設置」
『海底神殿』
序列上、水属性
効果1:水属性の召喚獣の攻撃力、防御力を+1000。
効果2:水属性の召喚獣は火属性魔法は効かない。
「火属性対策?」
「ああ。君の戦いを見ていた。だからこれが、僕の最善の策だ。世界ランキング13位の巫さん」
見られていたということか。
だから火属性対策のデッキ。
だからといって、俺は負けられない。
「次に『泡狸』を召喚。そしてバトルタイム、『泡狸』で攻撃」
『泡狸』の攻撃力は3000。
対して『ヒノコ』の防御力は2000。
「『ヒノコ』で防御」
「おや?」
俺のとった選択に、相手は驚いている様子だった。
「意外だったか?俺が『ヒノコ』を犠牲にすることが」
「ああ。普通、直接受けると思うけどな」
「良いんだよ。直接受けられる回数は五回、だからその五回を大切にしないと。俺はこれまでの戦いでそれを学んだ。だから勝つよ」
「熱血系か。タイムエンド」
相手は相変わらず暗いトーンだ。
元気がないのか、静かに、目立たないようなオーラを纏っている。
4ターン目
「俺のターン。『赤甲獣カッコウ』を召喚」
『赤甲獣カッコウ』
序列中、火属性
攻撃力8000、防御力5000
特殊効果:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全ての攻撃力を+2000する。
「行くぞ。『赤甲獣カッコウ』で攻撃」
「直接受ける」
「続けて『ヒノコ』で攻撃」
「攻撃魔法『ネオファイアー』。攻撃力3000以下の召喚獣を破壊する。よって『ヒノコ』を破壊」
これで俺の戦場には『赤甲獣カッコウ』だけとなった。
だがこのターンで初、直接攻撃を決めることができた。
ーー十分だ。
「タイムエンド」
5ターン目
「ようやく巨人が目覚める時が来た」
相手はこの時を待ち遠しく思っていた。
それは、ある召喚獣が目覚めるから。
それは、ある召喚獣の暴走が始まるから。
「タイムスタート。それと同時、『海に眠る巨人』を仮眠状態から回復状態に回復」
『海に眠る巨人』の特殊効果1(眠り)。
その効果は召喚してから3ターンは仮眠状態のまま動けないというもの。
召喚したのは1ターン目。そのターンから3ターンということにより、4ターン目で初めて仮眠状態のまま動けないという制約から解放される。
そして現在5ターン目、自分のタイムスタート時に仮眠状態の自分の召喚獣を回復できるため、今『海に眠る巨人』が回復した。
「バトルタイム。『海に眠る巨人』で攻撃」
防御できる召喚獣がいない。
ここは直接受ける以外の選択肢が残されていない。
「直接受ける」
初の直接攻撃を受けた。
だがそれだけでは『海に眠る巨人』は止まらない。
3ターンも眠っていたのだ。少しくらい恐ろしい効果を発動しても良いだろう、そんな具合に巨人は吠える。
「特殊効果2(目覚め)を発動」
『海に眠る巨人』
特殊効果2(目覚め):この召喚獣が攻撃した時、この召喚獣の攻撃を防御しなかった召喚獣を一体破壊する
「そんな効果が……」
「指定する召喚獣は『赤甲獣カッコウ』。その召喚獣を破壊しよう」
これにより、戦場から俺の召喚獣はいなくなった。
かなり厳しい状況まで陥らされた。
「タイムエンド」
6ターン目
手札は五枚。
まだ十分に手数はある。
相手の手札は三枚。
手数はまだ余裕がありそうではあるが……
「『フレイムタウロス』を召喚」
『フレイムタウロス』
序列中、火属性
攻撃力7000、防御力4000
「次に『リザードマン』を召喚」
『リザードマン』
序列中、火属性
攻撃力6000、防御力5000
「『フレイムタウロス』で攻撃」
「直接受ける」
「タイムエンド」
直接攻撃二回目が終わり、ターンを終えた。
とはいえ、相手の召喚獣『海に眠る巨人』が残っている以上、こちらは易々と攻撃することができない。
7ターン目
「僕のターン。そろそろ僕も本気で行こうかな」
相手は手札から一枚、戦場に召喚獣を召喚する。
「海底の支配者。今ここで海を喰らって大海を飲み干せ。『水帝ミカドガルド』を召喚」
『水帝ミカドガルド』
序列上、水属性
召喚条件:自分の戦場魔法がひとつ以上ある時
攻撃力13000、防御力11000
特殊効果1(湖の主):この召喚獣の攻撃は水属性の召喚獣以外は防御できない
特殊効果2(水流壁):水属性の召喚獣は、防御力+2000
特殊効果3:戦場魔法ひとつにつき、この召喚獣の攻撃力は+1000。
必殺技(発動可能時:自分のターン)
このターンの間、自分の水属性の召喚獣は、戦場にいる火属性の召喚獣を墓地に送ることで回復する
「その召喚獣……」
俺はただただ固まった。
だってその召喚獣は、さっき俺がやっとの思いで倒した召喚獣だったからだ。
その召喚獣の必殺技は、火属性の召喚獣が多ければ多いほど、回復するという、条件次第では無双するというもの。
「これが僕の序列上召喚獣」
内気ではあるものの、その目では確かに勝利を見ている。
「バトルタイム。『ミカドガルド』で攻撃」
『水帝ミカドガルド』の特殊効果1(湖の主)
それにより、水属性の召喚獣しかこの召喚獣の攻撃を防御できない。
「直接受けるしかねえのかよ」
これで俺も二回目の直接攻撃を受けた。
次は『海に眠る巨人』で攻撃してくるか、と思ったが、攻撃することなく、
「タイムエンド」
そう宣言した。
おそらく待っているのだろう。
『水帝ミカドガルド』の必殺技を発動させる、あのカードを。
もしそのカードが来た瞬間、火属性召喚獣を無慈悲に破壊しながら無双が始まる。
だからといってこちらが何の手も討たなければ、特殊効果によって防御できない『水帝ミカドガルド』の攻撃によって倒れる。
あと数ターン以内で決着がつく。
その前にこちらも何か手をーー
8ターン目
「ドロータイム……来た」
引いたカードをすぐさま使用する。
「『ドロー4』によりデッキから4枚ドロー」
『ドロー4』
序列上、無属性
効果:デッキから4枚ドローする
これで手札の補充は完了した。
手札は八枚。だがこれでも、俺が望んでいるカードは来ない。
「さらに『ドロー2』。デッキから2枚ドローする」
『ドロー2』
序列下、無属性
効果:デッキから2枚ドローする
これで手札は九枚。
「来た」
「へえ。準備が整ったのかな?」
「ああ、随分待たせたな。ようやくコンボが揃ったんだ」
「楽しみだ。どんなコンボかな」
相手は平然としている。
今の今まで、相手は平然と貫いている。
「その澄ました顔にひびでも入れてやろう。来い。『赤甲火獣グレンカッコウ』」
『赤甲火獣グレンカッコウ』
火属性、序列上
召喚条件:自分の火属性の召喚獣が戦場に1体以上いる時
攻撃力:12000、防御力:9000
特殊効果1:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全てを攻撃力+3000する。
特殊効果2(紅蓮):この召喚獣の攻撃で相手の召喚獣を破壊した時、その召喚獣と序列が同じ召喚獣を破壊する。
必殺技(発動可能時:バトルタイム)
紅蓮灼熱砲:攻撃力18000以下の相手の召喚獣を破壊する。
「それがあなたの序列上ですか。随分と強そうですね」
「ああ。強いさ。だって俺の召喚獣なのだから」
『赤甲火獣グレンカッコウ』
この召喚獣で俺は『水帝ミカドガルド』を倒す。
「次に戦場魔法『炎上網』を設置」
『炎上網』
火属性、序列中
効果:戦場にいる火属性の召喚獣一体につき、火属性の召喚獣の攻撃力を+1000する。
「バトルタイム。『赤甲火獣グレンカッコウ』で攻撃」
「直接ーー」
「まだだ。特殊魔法『チェインバトル』を使用。この魔法により、『赤甲火獣グレンカッコウ』の対戦相手を選択できる。この召喚獣が戦うのはお前だ。『水帝ミカドガルド』」
ここで『水帝ミカドガルド』さえ討てれば、俺は勝てる。
「行け。『水帝ミカドガルド』」
「確かにこの場合、僕の『ミカドガルド』は倒される。でも後悔してください。僕はあなたを道連れにする」
ーーある時思ったんだ。自分だけがこんなに辛い思いをしているのなら、せめて誰かを巻き込んでこの痛みを味合わせようと。
平然としたまま、相手は手札からカードを一枚取り出した。
「特殊魔法『序列戦戦』」
「ーー何!?」
まただ。
そのカードはまた、さっきの戦いで夜桜が使用していたカード。
『序列戦戦』
序列上、無属性
効果:このターンの間、バトルの勝敗は攻撃力や防御力ではなく、序列で決める
「そう来たか」
「序列は互いに上だろ」
つまり、このバトルではどちらの召喚獣も互いに破壊される。
「『グレンカッコウ』……」
だがここで攻めなければ。
「『フレイムタウロス』で攻撃」
「『泡狸』で防御」
「次は『リザードマン』」
「直接受ける」
三回目の直接攻撃を決めた。
だが序列上召喚獣の破壊された。
「次は僕のターンだ。早くタイムエンド宣言をしてくれ」
「タイムエンド……」
9ターン目
「僕もそろそろ行こうかな。『ドロー2』により、デッキから二枚ドロー」
引いたカードを見て、相手の頬は少し緩んだ。
「では行こう。召喚条件は満たされた。『炎帝ミカドゲルド』を召喚」
『炎帝ミカドゲルド』
序列上、火属性
召喚条件:自分の戦場魔法がひとつ以上ある時
攻撃力15000、防御力10000
特殊効果1(炎帝):火属性の召喚獣が相手の召喚獣を破壊した時、相手に直接攻撃する。
特殊効果2:自分の火属性の召喚獣は攻撃力+2000
必殺技:???
これで相手の召喚獣は二体。
『海に眠る巨人』と『炎帝ミカドゲルド』。
こちらは防御できる召喚獣はいないが、それでもまだ二回しか直接攻撃を受けていない。
このターンは凌ぐことはできる。
「バトルタイム。『炎帝ミカドゲルド』で攻撃」
「直接受ける」
「続いて『海に眠る巨人』で攻撃」
「それも直接受ける」
「『海に眠る巨人』の特殊効果(目覚め)により、『フレイムタウロス』を破壊する」
どちらも直接受け、これで四回目の直接攻撃が下された。
もう猶予はない。
「タイムエンド」
10ターン目
このターンで決める。
「『赤甲獣カッコウ』を召喚」
相手の召喚獣は二体とも仮眠状態。
だが俺の召喚獣の『リザードマン』と『赤甲獣カッコウ』は回復状態。
「ここで勝つ。『リザードマン』で攻撃」
「来ると思っていたよ。回復魔法『ダブルヒール』」
『ダブルヒール』
序列上、無属性
効果:自分の召喚獣二体を回復状態にする。
「よって『海に眠る巨人』と『炎帝ミカドゲルド』を回復。そして『リザードマン』の攻撃は『海に眠る巨人』で防御」
『リザードマン』の攻撃力は6000+2000+2000で10000。
対して『海に眠る巨人』の防御力は5000。
『海に眠る巨人』は破壊される。
「次に『赤甲獣カッコウ』で攻撃」
「まだ攻撃してくるのかよ……。『炎帝ミカドゲルド』で防御」
『赤甲獣カッコウ』の攻撃力は8000+2000+2000で12000。
だが『炎帝ミカドゲルド』の防御力は10000。
「『炎帝』も終わりだ」
『炎帝ミカドゲルド』は破壊される。
だがこの攻撃によって、俺の召喚獣は全て仮眠状態になった。
俺はあと二回、直接攻撃をしなくてはいけない。
だが二体とも防御された。
「このターンさえ凌げば君に勝ち目はない。早くタイムエンド宣言をーー」
「ーータイムエンド宣言?何を言っている。バトルタイムはまだ終わらない」
俺は手札より魔法を発動させる。
「回復魔法『回復』」
『回復』
序列中、無属性
効果:自分の召喚獣一体を回復させる
「そう来たか。だから何だと言うんだ。たった一体回復しただけで」
「『赤甲獣カッコウ』を回復させ、攻撃」
「攻撃?次のターンの防御に温存はしておかないのか?まあ直接受けるけど」
これで四回目の直接攻撃。
「温存など必要ない。だってここで決めるのだから」
「何を……ってまさか……」
俺はもう一枚、手札より魔法を使用する。
「二枚目の回復魔法『回復』。これによって『赤甲獣カッコウ』を回復させ、攻撃」
「そうか……。やっぱ世界ランキング13位は、強いな……」
平然だった相手の表情は、徐々に曇り始めた。
「僕にはこれしかなかったのに、僕にある唯一のもので負けるなんて……」
ーー僕は、酷い奴だ。
「直接受ける」
よってこの勝負、巫一色の勝利。
そして朝井離国の敗北ーー




