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Summoned Beast and Magic  作者: 総督琉
白色シーズン《ハロウィーンナイト&モーニング》
28/38

第27ターン『呪う者』

 巫一色VS黒魔導呪言



 1ターン目

 黒魔導呪言のターン


「我から参ろう。『呪言師』を二体召喚」


『呪言師』

 序列下、闇属性

 攻撃力:5000、防御力0


「防御力0か。面白い召喚獣だな」


「それが闇属性であるからして」


「もう一体ぐらい召喚しないのか」


「初手で無駄に召喚獣は出さないよ。魔法は警戒している。あなたの戦い方は黒島との勝負で見ている。火属性は召喚獣破壊のカードが多い」


 それが火属性の得意分野。


「だからここは、タイムエンドです」




 2ターン目


 この勝負は、必ずしも先攻か後攻、どちらかが有利ということはない。

 勝敗はほぼ運によって決まる。

 当然デッキの構築が上手ければ上手いほど、その運も引き寄せやすくはなる。


「まずはドロータイム。そしてサモンズタイム」


 俺の手札には既に序列上の召喚獣『赤甲火獣グレンカッコウ』がある。

 最初から手札にあるというのは運が良い。


「『ヒノコ』、『フレイムタウロス』を一体ずつ召喚」


『ヒノコ』

 序列下、火属性

 攻撃力2000、防御力2000


『フレイムタウロス』

 序列中、火属性

 攻撃力7000、防御力4000


 敵の防御力は0。

 攻撃し放題ということか。


「バトルタイム。『フレイムタウロス』で攻撃」


「直接受ける」


「続けて『ヒノコ』」


「直接受けよう」


 これで直接攻撃二回。

 しかしおかげで俺の召喚獣は全て仮眠状態。


「タイムエンド」





 3ターン目


「まずは戦場魔法『呪言の墓』を設置」



『呪言の墓』

 序列上、闇属性

 効果1(呪命):自分の『呪言』とつく召喚獣が破壊された時、破壊した召喚獣を破壊する。

 効果2(逆呪命):自分の『呪言』とつく召喚獣が相手の召喚獣を破壊した時、墓地から『呪言』とつく召喚獣を戦場に回復状態で復活させる。



「それでは行きますよ。このターンであなたの命を少し削りましょうか」


 黒魔導は一体も召喚することなく、バトルタイムへと移行した。


「バトルタイム、『呪言師』で攻撃」


「直接受ける」


「続けて『呪言師』で攻撃」


「直接受ける」


 お互いに二回の直接攻撃を受けた。

 これで互いに一進一退の状況。


「タイムエンドです」




 4ターン目


 そろそろ『グレンカッコウ』を出すべきか。

 いや、まだ闇属性がどのようなカードがあるのか分からない以上、ここでむやみに召喚獣を出すわけにはいかない。

 ここは、軽く攻める。


「まずは戦場魔法『炎上網』を配置」


『炎上網』

 火属性、序列中

 効果:戦場にいる火属性の召喚獣一体につき、火属性の召喚獣の攻撃力を+1000する


 これで俺の残り手札は四枚。


「続いて二体目の『フレイムタウロス』を召喚」


 ここは防御できる召喚獣を残すべきか。

 いや、火属性召喚獣は防御力に乏しい。攻められる内に攻めなきゃ。


「バトルタイム」


「来ますか」


「『フレイムタウロス』で攻撃」


「直接受けましょう」


「続けてもう一体の『フレイムタウロス』で攻撃」


「それも直接です」


 残り一回直接攻撃をすれば俺の勝ち。

 だが奴の手札はまだ四枚ある。ここでとどめを刺せなければ、次のターンで直接攻撃を多く受ける。

 手札に攻撃魔法はあるものの、用心しなくてはいけない。


 闇属性は未だ、未知なのだから。


「タイムエンド」




 5ターン目


「来ないのですか。詰まらないですね」


 黒魔導はドローしながら、退屈そうに呟いた。


「あなたが本当に黒島を倒したとは思えません」


 黒魔導は召喚獣を召喚した。


「出でよ。我が盟約に従いし呪言の王。『呪言冥命師』を召喚する」



『呪言冥命師』

 序列上、闇属性

 攻撃力8000、防御力0

 特殊効果(呪殺):この召喚獣が防御した召喚獣を破壊する

 必殺技:???



「それでは始めましょう。呪言の呪いを」


 俺は察した。

 今戦場には呪言に関する魔法がいくつもある。

 そして現在、自分の首にはナイフが突きつけられているように、追い詰められている。


 このデッキはまるでーー死神だ。


「バトルタイム。『呪言師』で攻撃」


「まずいーー」


 ーーーー巫、私を必ず倒してくれよ


「天崎……」


 ふと天崎の声が俺の脳裏には響いた。

 そうだ。俺はこんなところで負けてはいられない。


 俺は冷静に戦場を見渡す。

 一度でも選択を間違えれば、相手の復活の連鎖により、ここでとどめを刺される可能性が高い。

 もしくは、相手が自ら自分の召喚獣を破壊する、という行動をとる可能性がある。その前に一体でも沈める。


「攻撃魔法『ダブルフレイム』。攻撃力6000以下の召喚獣二体を破壊する。つまりは、『呪言師』二体を破壊」


 魔法での破壊の場合、俺の召喚獣は破壊されない。


 次に相手の戦場魔法を破壊したいが……

 手札を眺め、そのカードを見つける。


「『エクストラフレイム』」


『エクストラフレイム』

 序列中、火属性

 効果:相手の戦場魔法をひとつ破壊する


「この魔法により、『呪言の墓』を破壊する」


 これで呪言の連鎖が来ることはなくなった。

 ーーはずなのに、黒魔導は平生と保ったまま手札を見ていた。それも残り一枚となった俺の手札を。


「仕方ない。これを使おう。特殊魔法『バキューム』」


 ここに来て、何の魔法だ?


「『バキューム』の効果。相手の手札から一枚取り、もし召喚獣だった場合は自分の召喚獣として戦場に召喚する。それ以外の場合、相手の墓地に送る」


「は!?」


「一枚だけ取らせてもらいますよ。とはいっても、あなたの手札は残り一枚ですか」


 待て、待て……。


 俺の手札は残り一枚。

 そしてそのカードは、『赤甲火獣グレンカッコウ』のカード。

 つまり、この召喚獣を奪われる!?


「貰いますよ」


 黒魔導は俺のカードを手に取り、微笑んだ。

 そしてそのカードを自分のカードのように戦場に召喚した。


「『赤甲火獣グレンカッコウ』を召喚」


 ーー奪われた

 俺の召喚獣を。



『赤甲火獣グレンカッコウ』

 火属性、序列上

 召喚条件:自分の火属性の召喚獣が戦場に1体以上いる時

 攻撃力:12000、防御力:9000

 特殊効果1:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全てを攻撃力+3000する。

 特殊効果2(紅蓮):この召喚獣の攻撃で相手の召喚獣を破壊した時、その召喚獣と序列が同じ召喚獣を破壊する。

 必殺技(発動可能時:バトルタイム)

 紅蓮灼熱砲:攻撃力18000以下の相手の召喚獣を破壊する。



「そう悲しまないでくださいよ」


 運を引き寄せるためにはカードをどのようにして使うか、それが問われる。

 恐らくこの男は最初から狙っていたんだ。このターンで魔法を使わせ、残った一枚が召喚獣であることに賭け、この魔法を使った。


「タイムエンド。次はあなたのターンですよ」


「これが……お前の戦い方か……」


「ええ。これが我の闇属性。闇は全てを飲み込むのデス」





 6ターン目


 ここで反撃を。

 だがそれは『赤甲火獣グレンカッコウ』を倒す、ということになる。


 生憎、俺のデッキには序列上の召喚獣は一体のみ。

 それでこの状況を挽回できるか。


「あーあ。もう終わりですか」


「……ドロータイム」


 引いたカードは、『ドロー2』。

 それを使用し、デッキから二枚ドローする。


「あなたの手札はその二枚ですか。追い込まれましたか」


「いいや。そうでもないさ」


 俺は残り一枚のカードを手にし、それを戦場に召喚する。


「良く来てくれたな。『赤甲獣カッコウ』」



『赤甲獣カッコウ』

 火属性、序列中

 攻撃力8000、防御力5000

 特殊効果:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全ての攻撃力を+2000する。



「へえ。まだ希望があると?」


「希望ならある。ここで押しきる」


「来てください」


 俺の召喚獣は全て『赤甲獣カッコウ』の効果により+2000。

 その上戦場魔法により、攻撃力は+4000。

 つまり、全召喚獣が攻撃力+6000。


「ここで決めなきゃ、俺はもっと上には行けないんだ」


「上を目指しますか」


「だからお前につまずいている暇は、ない」


 俺は『赤甲獣カッコウ』に触れる。


「攻撃だ。『赤甲獣カッコウ』」


「残念ですが、あなたのターンはここで終わりです」


「何!?」


「防御魔法『フリーズドライ』。このターンを終了させる」


「そんな……」


「その攻撃は『呪言冥命師』で防御しましょう」


『呪言冥命師』の防御は0。当然『呪言冥命師』は破壊される。

 しかし『呪言冥命師』が持つ特殊効果により、『赤甲獣カッコウ』も犠牲になる。


 そして、俺のターンは終わったーー





 7ターン目


「戦場魔法『暗黒四天王山』を設置」


 それは一度目にしたことのある光景。

 その戦場魔法が出たということは、あの召喚獣が出るということ。


「では半魔様より頂いたいこの召喚獣の降臨の時間だ。宵闇の中を掻き分けて、悪夢に更なる悪夢を重ねて現れよ。暗黒の蛇帝『暗黒四天王ゴルゴオン・ピュア』を召喚」



『暗黒四天王ゴルゴオン・ピュア』

 序列上、闇属性

 召喚条件:戦場に『暗黒四天王山』が設置されている時

 攻撃力14000、防御力9000

 特殊効果1(暗黒の冠):この召喚獣が相手の召喚獣を破壊した時、相手に直接攻撃をする。

 特殊効果2:この召喚獣が相手に直接攻撃した時、墓地から一枚序列中以下の召喚獣を戦場に復活させ、相手の召喚獣一体を指定して2ターン動けなくする。



「まだ序列上の召喚獣を持っていたというのか……」


「二枚じゃない。序列上の召喚獣は最低三枚は入れておかないとね。でないと強者には敵わない」


 俺のデッキには序列上の召喚獣は一体しかいない。

 そしてそれは今奪われている。


「ではバトルタイム。行け、『赤甲火獣グレンカッコウ』」


 この召喚獣の恐ろしさは自分が一番知っている。

 だからこそこの召喚獣の攻撃は、恐ろしいーー


「『ヒノコ』で防御する」


 大きな差がそこにはあった。


 ーーだからこそ、その召喚獣を知り尽くしている俺だからこそ、何で防御すべきかはよく分かる。


「これでは特殊効果が発動できないです。やっぱ効果の内容は熟知しているのですね」


「当たり前だ」


「タイムエンドです」





 8ターン目


 俺は何もせず、ターンを終える。




 9ターン目


 黒魔導は『呪言師』を一体召喚し、タイムエンド。




 10ターン目


 俺はカードをドローする。


「来た。ようやくお前を倒せる」


「何が来たというんだ」


「出でよ。『グレンカッコウ』を討つに相応しき召喚獣ーー『赤甲獣カッコウ』を召喚」



『赤甲獣カッコウ』

 火属性、序列中

 攻撃力8000、防御力5000

 特殊効果:この召喚獣を召喚したターン、自分の召喚獣全ての攻撃力を+2000する。



「リベンジマッチだ。『フリーズドライ』は序列上の魔法。つまりデッキには一枚しか入れられない。俺を止めることができるかな」


「来るが良い」


「バトルタイム。『赤甲獣カッコウ』で攻撃だ」


「『呪言師』でーー」


「させない。特殊魔法『チェインバトル』。この魔法により、この召喚獣の相手を指定することができる。相手は『赤甲火獣グレンカッコウ』、お前だ」


「まずい……」


『赤甲火獣グレンカッコウ』の防御力は9000。

 対して『赤甲獣カッコウ』の攻撃力は8000+2000+4000の14000。


「倒せ。『グレンカッコウ』を」


『赤甲火獣グレンカッコウ』の防御力を『赤甲獣カッコウ』が上回ったために、『赤甲火獣グレンカッコウ』は俺の墓地へと送られる。


「ようやく戻ってきたな。『グレンカッコウ』」


 俺は今、闘志に満ち溢れていた。

 だってようやく、ここでとどめを刺せるのだから。


「続けて『フレイムタウロス』で攻撃」


「『呪言師』で防御」


『呪言師』は破壊される。


「続けて『フレイムタウロス』」


「『ゴルゴオン・ピュア』で防御」


『ゴルゴオン・ピュア』も同じく破壊される。

 これで黒魔導を護る召喚獣は一体もいなくなり、そして俺の召喚獣は一体残っていた。


「とどめを刺せ。『ヒノコ』」


「ここまでか……。直接受ける」



 五回目の直接攻撃が炸裂する。

 それによる、この勝負は俺の勝利で終わった。


今回のピックアップカード


『バキューム』

序列上、闇属性

相手の手札から一枚取り、もし召喚獣だった場合は自分の召喚獣として戦場に召喚する。それ以外の場合、相手の墓地に送る。

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