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Summoned Beast and Magic  作者: 総督琉
白色シーズン《ハロウィーンナイト&モーニング》
27/38

第26ターン『強き日を待ちわびて』

 天崎が勝利し、終わった戦い。

 戦いが終わるなり、天崎は俺のもとへと駆け寄ってきた。


「どうだった?一色」


「強かったです。さすがですね」


「まあな。妥当な結果だった」


 天崎は勝利を当然のように思っているのか、勝利を誇ることもなく、淡々としていた。


「一色。そういえばハロウィーンだったな」


「はい。そうですね」


 10月31日。

 そういえば今日はハロウィーン。


 天崎と出会ってからもう何ヵ月も経つんだな。

 未だに彼女とは肩を並べられるほど強くなっていないけど。


「先ほどした約束なのだが、期限を設けても良いか」


「それほど短くなければ構いませんよ」


「ならクリスマスイブ。その日、私と世界ランキング1位をかけた再戦しよう」


「……え!?……ぇええええええ!?」


 さすがに無理だ。


「世界1位の座をですか!?」


「駄目か?」


「いえ、その座は俺には……」


 ーーまただ。

 また俺は自分に自信が無いようなことを言おうとしている。

 せっかく俺は姉さんのおかげで自信が持てたというのに、これでは何も変わらないじゃないか。


 いつまで経っても臆病者のままじゃ、俺はーー誰にも誇れない。


「分かりました。クリスマスイブ、その日、俺は必ずあなたを倒す」


「楽しみだ。君には是非とも期待しているぞ」


 天崎は安堵していた。


「じゃあまた今度な」


 天崎は階段を降りていく。

 彼女が去り際に見せたのは、どういうわけか悲しみといえば良いのだろうか、それとも儚さと呼べば良いのだろうか、何とも言えぬ表情だった。


 俺は天崎と約束した。

 クリスマスイブ、その日までに、俺はもっと強くなっていなければいけない。


 だからもう、自分に自信がないなどという弱音は吐かない。

 俺は世界ランキング1位、天崎召部の弟子ーー巫一色なのだから。


 俺は姉さんのもとへと戻る。


「姉さん」


「何だ?」


「俺、もっと強くなりたい。誰にも負けないくらい、強くなりたい」


 天崎の期待に応えたい。

 その思いだけが爆発して、俺は姉さんに恩恵を願った。


「世界ランキング13位。君は更に上を目指せる。だから一色、私が君を更に向こうへとレベルアップの協力をしよう」


「良いんですか!」


「ただし、私にだって教えられることはそうたくさんあるわけではない。一色、あとは自分の才能と努力次第だ。だから結局、全ては自分に委ねると良い。最終的には自分がどうしたいか、自分がどうありたいかが必要だから」


「分かりました」


 姉さんはじっと俺の眼を見つめる。


「良い眼をするな。そんな一色だから、私は背中を押したくなるんだろう」


 姉さんは立ち上がり、俺の手を掴んだ。


「一色、なら話は早いな。そもそも今日ここへ来たのは、ハロウィーンに毎年行われるある大会に参加するという目的もあったんだ」


「そんな大会が?」


「もしその大会で優勝すれば、あるカードを手に入れることができる。そのカードの名は『紅蓮皇獣イフグリード』。火属性、そして序列上の召喚獣」


「強そうですね」


「だからこの大会で優勝しろ。そしてそのカードを手に入れろ」


「はい」




 一時間後、午後九時。

 そのカードショップ内ではカードバトルの大会が始まろうとしていた。

 その大会の参加者は三百人ほど。

 中には世界ランキングに名を連ねている者が数名、この大会には参加している。


「まさか序列上のモンスターが景品だとはね」


 眼帯をつけた青年は大会が始まるのを静かに待っていた。


「火属性。まだ序列上の召喚獣はデッキにはないけど、絶対手に入れてやるんだから」


 少女は『リザードマン』のカードをじっと眺めていた。



 やがて大会は始まる。


「さあ今宵、大会を始めよう。この召喚獣をかけた勝負を」



 ハロウィーンナイト(今宵)、この召喚獣をかけた勝負を始まる。

 勝者のみが至高の召喚獣を得ることができる。



「さあ、開戦だ」




 一回戦。

 俺の相手はーー


「へえ、あなたが我々の仲間、黒島美麗を倒した人物ですか」


 俺の相手は不気味な色をしたローブを纏っている男だ。

 それに黒島美麗って、確か半魔四天王の一人で、俺がさっき倒した相手か。


「お前もか」


「察しが良いですね。我は半魔四天王の一人、黒魔導呪言。仲間の仇、討たせていただきますよ」


 黒魔導呪言。

 恐らく彼も、黒島と同じ闇属性デッキ。


「では始めましょう。我の呪いに敵うならば」


「受けて立つ。どんなデッキだろうと、俺のデッキで粉砕する」


「良い眼をしますね。だからこそあなたは、倒しがいがあります」

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