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Summoned Beast and Magic  作者: 総督琉
でたらめズメソッド
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第18ターン『兄の面影』

 1ターン目、師匠のターン。

 師匠は『ヒノコ』を一体召喚し、ターンを終えた。


 2ターン目。賀狼のターン。

 賀狼は『大地の狼』を二体召喚し、その内の一体で攻撃する。

 それを師匠は直接受けた。


『大地の狼』

 土属性、序列下

 攻撃力5000、防御力3000


 3ターン目。師匠は動く。


「朝比奈、よく見ておけ。新たなカードの使い方を」


 師匠は『サンダートライアングル』と『ラビット』を一体ずつ召喚した。


『サンダートライアングル』

 序列下、雷属性

 攻撃力4000、防御力4000


『ラビット』

 序列下、光属性

 攻撃力2000、防御力2000


「そして『エレメントドロー』を使用」


 そのカードは本来私のデッキに入っていなかったカードだ。

 師匠が私のデッキに入れたカードのひとつだろう。


『エレメントドロー』

 序列中、無属性

 戦場にいる全ての召喚獣の属性の種類だけデッキからカードをドローできる。


「戦場には今、火、雷、光、土属性がある。よってデッキより四枚ドローする」


「へえ。随分と面白い魔法だな」


「ああ。このデッキは弱くない。俺の弟子のデッキは強いんだ」


「師匠……」


 私は師匠に尊敬の眼差しを向けていた。

 相変わらず師匠は凄い人だ。


「続けて『火の鳥』を召喚」


『火の鳥』

 序列下、火属性

 攻撃力4000、防御力4000


 師匠の召喚獣はこれで四体。

 対して賀狼を護る召喚獣で、動けるのは一体だけ。


「押し通る。進め、『火の鳥』」


「直接だ」


「次はサンダートライアングル」


「それも直接」


「次は、タイムエンドだ」


 その選択を受け、賀狼は怪訝な表情になる。


「なあお前、『ラビット』か『ヒノコ』で攻撃してほしかったか?」


「ああ。来たら『大地の狼』で防御して破壊できた。だがお前は攻撃してこなかった」


「召喚獣を無意味に死なせるわけにはいかない。ここで全ての召喚獣で攻撃するより、次の攻撃に備えて防御できる召喚獣を整える方を優先しただけだ」


「まあたった二回直接攻撃されただけ。対してお前は一回だけしか受けていない。この程度の差、すぐに埋めてやるよ」


 4ターン目。

 賀狼はまずは一枚デッキからドローする。

 しばらくカードを眺め、焦りを表情に浮かべていた。


「いいカードが手札にないのか」


「ああ。だがその程度は予想の範囲内。勝負はこれからだ」


 賀狼は『大地の門番』を召喚する。


『大地の門番』

 攻撃力6000、防御力6000

 特殊効果:自分の土属性の攻撃力、防御力を+1000する。


「バトルタイム。『大地の門番』で攻撃」


「攻撃魔法『エレメントヘル』」


『エレメントヘル』

 序列上、無属性

 自分の手札から召喚獣を一枚墓地に送ることで、その召喚獣と同じ属性をもつ相手の召喚獣一体を破壊する。


 師匠が手札から墓地に送ったのは、『大地の狼』。つまり土属性。


「お前のデッキにも入っているのか……」


「言ってなかったか。このデッキは全属性デッキ。全ての属性が入っている。俺はお前の召喚獣を討つ」


 師匠の強さに、賀狼が弱く見える。

 さっきまで賀狼があれほど強く思えていたのに、今ではそれほど強いとは感じない。


「いけ。師匠」


「この魔法により、『大地の門番』を破壊する」


『大地の門番』は墓地へと送られた。

 残る召喚獣は『大地の狼』二体のみ。

 それらを眺め、賀狼は腕を組み、空を見上げて考えていた。


「タイムエンド……」


 5ターン目。


「そろそろ行くぞ。『リザードマン』を召喚。続けて『フレイムタウロス』を召喚する」


『リザードマン』

 序列中、火属性

 攻撃力6000、防御力5000


『フレイムタウロス』

 序列中、火属性

 攻撃力7000、防御力4000


 師匠の召喚獣は六体。

 対して賀狼が動かせる召喚獣は二体だけ。


「弱いな。賀狼」


「まだ手札には魔法がある。いくらでも対応ができるんだよ」


 賀狼の手札は四枚。

 四枚もあれば魔法の一枚はある危険性があった。


「それがどうした。その程度で怖じ気づくと思うな。まずは『ヒノコ』で攻撃」


「攻撃魔法発動、『グラウンドインパクト』」


『グラウンドインパクト』

 序列中、土属性

 効果:土属性以外の、防御力5000以下の召喚獣全てを破壊する。


 その魔法により、師匠の召喚獣全てが破壊された。

 その大損害を受け、師匠のバトルタイムは終了する。


「タイムエンド」


 6ターン目。

 賀狼は勢いを取り戻しつつあった。


「火属性の召喚獣は防御力は脆い。だから言っただろ。お前では俺に勝てないんだと」


 調子に乗り始め、賀狼はカードをドローする。


「来たか。俺の相棒」


 賀狼は引いたカードをそのまま戦場に召喚した。


「来い。『大地の猛獣ガロウ』」


『大地の猛獣ガロウ』

 土属性、序列上

 召喚条件:戦場に序列下の召喚獣が一体以上いる時

 攻撃力9000、防御力10000

 特殊効果(餓狼):この召喚獣の攻撃によって相手の召喚獣を破壊した時、破壊した召喚獣の防御力以下の召喚獣を破壊する。

 必殺技:??


「序列上……か」


「ガロウ、攻撃しろ」


「直接」


「続けて『大地の狼』二体で攻撃」


「二体とも直接来い」


 師匠はこれで直接攻撃を四回受けたことになる。

 もし次攻撃を受ければ、負ける。


「タイムエンド」


 7ターン目。

 師匠は静かにドローする。


「もう終わりか。その程度の強さで何が護れる?」


「まだ勝負は終わっていない」


 師匠はまだ諦めてはいなかった。


 確かにこのターン、賀狼の召喚獣は全て仮眠状態により動けない。

 それでもさっき全ての召喚獣で攻撃したということは、少なからず手札には回復させるカードがある。


「師匠……」


「何情けない声で泣いてやがる。俺が、世界ランキング13位の俺が負けると思うか?」


「でも、私のデッキじゃーー」


「十分さ。朝比奈のデッキは十分強いよ。だからそこで見ておけ。このデッキがこの男のデッキを打ち砕く瞬間を」


 師匠の手札は四枚。

 師匠はあと三回直接攻撃をしなくてはいけない。


 この差を埋めるのは至難の技だ。


「おいおい。今のお前に何ができる?諦めなよ。ってかお前世界ランキング13位なんだな。負けたらその座、俺にくれよ」


「そうか。これが天崎が言っていたことか。俺にも理解できた。お前なんかには負けられない」


 師匠の目つきは変わった。

 それは狩人から、騎士へと変わったように。


「『フレイムタウロス』、『サンダートライアングル』を召喚。続けて『エレメントドロー』を発動」


「属性は三つか」


「三枚ドローする」


 師匠の手札には新たに三枚が加わる。


「勝った」


「勝った?それはどうかな」


「いいや、勝つ。『ヒノコ』を召喚」


 師匠の召喚獣は三体。

 全ての召喚獣で直接攻撃をすれば勝てるが……。


「バトルタイム。『フレイムタウロス』で攻撃」


「魔法発動。『回復(ヒール)』、この魔法により仮眠状態の自分の召喚獣は回復する。回復させるのは当然『ガロウ』だ。そして『ガロウ』で防御」


「いいや。防御はできない。なぜならその前に死ぬんだからな」


 師匠は颯爽と一枚のカードを手に取る。


「それって……」


「『バーニングフレイム』」


 それは私が兄から貰った大切なカードだ。


「この魔法により、相手の攻撃力10000以下の召喚獣全てを破壊する。『ガロウ』、お前らは破壊だ」


 その魔法により、賀狼の召喚獣は一掃される。

『バーニングフレイム』を使う師匠の姿が、一瞬かつての兄の姿に見えた。


「お兄ちゃん……?」


「『フレイムタウロス』の攻撃はどうする」


「直接」


「続けて『サンダートライアングル』」


「それも直接」


「最後、とどめを刺せ。『ヒノコ』」


「ちっ……。直接だ」


 一気に三回の直接攻撃。

 それにより、賀狼は敗北した。


 不良たちは奪ったデッキを置いていき、すぐさま退散していく。


「朝比奈、見ていたか。このデッキでも十分強いんだってことが」


「うん」


 勝利した姿はまるで、全盛期の兄そのものだった。


「師匠……師匠……」


「大丈夫か」


「うん。ありがとう。師匠……ありがとう」


 私は感謝が込み上げてきた。

 嬉しくて、昔の兄を見れたようで嬉しかった。


「ありがとう。師匠」

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