84話・報告
僕たちが話している間に、捕縛は、バレッタさんが済ましてくれた。
「それじゃあ皆、上に戻ろうか。あ、バレッタさん変わります。」
「すみません、ノーリ君。お願いします。」
斧使いは、気絶しているので、そのまま背負い、皆で、転移版で地上に戻る。地上に戻ると、事情説明をする為に、4人でそのまま冒険者ギルドにむかった。バレッタさんは、警邏隊の人に斧使いたちを引き渡すと共に、説明をかねて少しの間別行動になっている。
今は、マリヤさんに連れられ、奥の部屋で、ギルドマスターのグラディウスさんらに、ダンジョン内で起こった事の報告をしていた。報告をし終えると、
「そんな事があったのね… マリヤ、すぐに詰め所にいって、その冒険者たちの確認とその他もろもろもお願い。」
「分かりました。」
そう言って、マリヤさんは部屋を出ていった。
「それにしても、大変だったね。一応、その冒険者たちの処遇はこちらでも調べた後、決めさせて貰うから今日は、帰っても大丈夫よ。」
「分かりました。後は、お願いします。」
「任せて。」
僕たちが、ギルドを後にするとギルド前には、既に、馬車と一緒に、バレッタさんが待ってくれていた。
僕たちが、馬車に駆け寄ると、
「この度は、すみませんでした!!」
いきなり、バレッタさんが、僕たちに頭を下げてきた。
「ど… どうしたんですか、バレッタさん。頭を上げて下さい!!」
周りの冒険者だけでなく、道行く人も何事かと見てくる。僕は、慌ててバレッタさんに頭を上げて貰う。
「急に、どうしたんですか?」
「今回の件は、完全に私のせいで起こってしまいました。ですから、いかような処罰でも、受けますので、仰って下さい。」
バレッタさんは、申し訳なさそうに、そう言ってくる。僕は何となくだが、今回の経緯に気づいている。だけど、後ろをチラッと見てみると、3人は何事か分かっていないような様子だ。
「…シャーロットはどう? バレッタさんに処罰を与える?」
「なんで、今回の件が、バレッタのせいなんですか? 悪いのは、全部あいつらですよ!! だから、バレッタを罰するつもりはありません。」
「そうだね。アネモスはどう?」
「私も、バレッタさんのせいではないと思いますので、特に罰を与えるつもりは、ありません!!」
「ソフィアはどう? 今回、怪我したけど?」
「確かに、怪我したけど、バレッタさんのせいじゃないよ? それに、回復薬で治してくれたもん。」
そう言ったソフィアの頭を僕は、優しく撫でる。
「だ、そうですよ、バレッタさん。皆こう言ってますし、僕も、今回の事全てが、バレッタさんのせいではないと思いますよ…」
何かあると分かっていて油断していた僕にも、非はあるしね。
「だから、今回の件で、そこまで気にする必要は、ないですよ。」
バレッタさんは、少し微笑んだ後、
「ありがとうございます!!」
そう言って、また頭を下げた。