83話・怒り 2
斧使いは、鼻血を垂れしながら、怒り狂ったような目で僕を見てくる。
「空箱… 貴様、何しやがった!!」
「見ての通りですよ」
「・・・」
斧使いは、睨むだけで、何も答えない。もしかしたら、力の差を察したのかもしれない。
僕は、聖剣を鞘に戻しながら、斧使いにとある事を聞いてみる。
「僕からも、1つ聞きたい事があります… 反省しましたか?」
「!?」
斧使いは、目を見開くだけで、またしても何も言わない。ただ、その目が、斧使いの心情を物語っている。
「もう、一度聞きます。反省しましたか?」
僕が、再び聞くと、今度はすぐに答えた。
「あぁ、反省する… この通りだ…」
斧使いは、頭を下げながらそう言ってくる。
「…なら皆に謝った後、地上に戻って警邏隊に、自首をして下さい」
「あぁ、分かった… ただその前に、ちょっと肩を貸してくれないか?」
「…分かりました」
僕は、斧使いに近づき、手を差し出す。
「あぁ、悪い… な!!」
すると斧使いは、僕の手を取らず、どこかに隠し持っていた短剣を突き刺してくる。
「だと思ったよ…」
その行動を予想していたので、慌てずバックラーで防ぐ。
「チッ…」
斧使いは、舌打ちしながらバックステップで後ろへ下がる。
「…反省すると聞いたような気がするんですけど、今のは何ですか?」
「反省? んなもん、する訳ねぇだろうが!!」
「そうですか…」
斧使いは、短剣を構えたまま突っ込んでくる。
「限界突破…」
僕は、スキルを使い、一瞬で、斧使いの懐に潜り込む。
「なっ!!」
斧使いは、驚きながらも、懐に潜り込んだ僕にむけて短剣を突き刺してきた。流石は、冒険者といったどころだろう。だけど、それをバックラーで受け取め、斧使いの顎めがけて、下からえぐり込むように、拳を突き上げる。
「ひ○ぶっ!!」
「最後は、ソフィアを怪我させた分だ」
斧使いは、そのまま放射線を描き、地面に叩きつけられる。スキルを解除し、少しの疲労感を感じながら、斧使いの捕縛にむかう。すると、
「お兄ちゃん!!」 「「ノーリ(さん)!!」」
振り返ると、皆が来ていた。
「おっと!!」
飛び込んできた、ソフィアを優しく受け止める。
よく見ると、ソフィアの頬の傷も、無くなっていた。
シャーロットやアネモス駆け寄ってくる。2人とも、特に怪我をしている様子もない。僕たちが話している間に、捕縛は、バレッタさんが済ましてくれた。
作者より(捕捉)
斧使いの最後の「○でぶっ!!」は、頭が破裂する拳法家が出てくる作品で出てくる断末魔になります。
あ、でも斧使いは、死んでませんよ!!
後、何気に「ひで○っ!!」は、漫画本編では、1、2回程度しか使われていないらしいです。