78話・モンスターハウス
バレッタさんも、こう言うのだから、僕の思い違いではないようだ。
「どういう事、お兄ちゃん!!」
驚いたのか、ソフィアが、そう聞いてくる。
「落ち着いて、ソフィア。そのまんまの意味だよ。少し前から、誰かにつけられてるんだ。」
「…冗談ではないのね、ノーリ?」
「あぁ。僕だけなら勘違いで済んだかも知れないけど、バレッタさんも同意見だから、まず間違いないね。」
「どうするんですか、ノーリさん?」
「出来るなら、理由を問いただしたい所だけど、今は、先を急いでいるから、そっちを優先しようと思う。皆もそれでいい?」
皆、頷いてくれる。
それを、確認した後、再び歩みを進める。相変わらず、後ろの気配は、一定の距離をとってついて来ている。あまり気にしないように、先へ進む。
少しすると、やや薄暗い広い空間に出た。少し先には、窪んでいる空間があり、底には無数のゴブリンがひしめき合っていた。俗にいうモンスターハウスだ。
その手前の空間に、倒れ込んでいる人を発見する。
「大丈夫ですか!!」
駆け出そうとする3人を、引き留め離れた位置から声をかけてみる。
「・・・」
倒れ込んでいる人の反応はない。一瞬死んでいるのかとも思ったが、気配察知には反応がある為、その可能性はない事に至る。気絶でもしているのかもしれない。
僕は、警戒しながら、倒れ込んでいる人に、近づき起こしてみる。
「うぅぅ… ここは…」
気絶から回復したのか、倒れていた人は、目を覚ました。
「ここは、ダンジョンの5階層です。」
その人を座らせながら、そう答える。
「5階層… 貴方は誰?」
「僕は、冒険者のノーリです。あ、これ回復薬です。良かったら、飲んで下さい。」
アイテムボックスから、取り出した回復薬を手渡す。
「冒険者… ありがとう…」
倒れていた女性は、受け取った回復薬を飲み出す。
「私は、シャーロットです。貴方は、何故ここにいるのか分かりますか?」
回復薬を飲んでいる際に、近寄って来ていたシャーロットが、そう尋ねる。
「突然、頭に衝撃を受けて気づいたら、彼に起こされてました…」
「そうですか… なら、急いでここを… 「バレッタさん!!」」
「来ますね。」
僕たちを、つけていた気配がこちらへ向かってきていた。僕は、ソフィアたちの前に出て、剣を構える。
気配の人物たちは、すぐに現れた。
作者より(捕捉)
モンスターハウスについて
① 3m程×25m程の広さ
② 高さ 3m程
③ 横幅 50m程
④ 幅 25m程
横図
①
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② | |
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立体図?
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深いプールくらいに思って下さい。