76話・悲鳴
僕たちは、僕、アネモス、ソフィア、シャーロット、バレッタさんの順で、ダンジョンへ入っていく。
今回僕の役目は、ソフィアと2人で行く予定だった通りタンク役をする。なるべく倒さず弱らせ止めは、ソフィアたちに任せる予定だ。
当初より潜る人数が増えてはいるが、一番後ろには、頼りになる侍女さんが控えているから、後ろの警戒を気にしなくて良くなったのは、正直有り難かったりする。
「そう言えば、2人はダンジョンに入った事あるの?」
ふと気になった僕は、シャーロット、アネモスに尋ねる。
「私は、初めてですね。」
「私も、シャーロットと同じく、ダンジョンに来たのは、初めてですね。」
「そっか。バレッタさんは…」
「私は、一応経験はありますね。」
ですよね…
「なら、2人には、ダンジョンの事を説明しながら、先に進むよ。ソフィアには、1度説明したと思うけど、ちゃんと聞いておくんだよ。バレッタさんも、何かあったら助言をお願いします。」
「うん!!」「「はい!!」」「了解しました。」
その後は、簡単にダンジョンの事などの説明を挟みつつ、1階層を進んでいく。気配察知で、何となくモンスターたちの居場所は分かるので、待ち伏せなどされずに、進む事が出来た。ただ、1度少し危ない場面もあったけど、怪我などはなく今は、3階層へと続く階段で腰をおろし、遅めの昼食を食べながら、休憩をとっていた。
「ソフィア、大丈夫かい?」
「ちょっと疲れたけど、大丈夫だよ、お兄ちゃん。」
「そっか。2人は、どう?」
「ノーリの言っていた通り、外とは違っていて、私も少し疲れましたね…」
「私もです。それに、先に話を聞いていましたけど、壁から急にモンスターが現れた時は、驚きましたね。」
「そうだね。あれには、僕も驚いたよ。」
壁から離れていたから良かったけど、壁に近かったら危なかったしね。
「食べた後は、どうする? 地上に戻る?」
「まだ私、頑張れるよ、お兄ちゃん!!」
「私も、大丈夫です!!」 「私も!!」
「分かった。なら、もうちょっと頑張ってみようか?バレッタさんも、大丈夫ですか?」
「うん!!」「「はい!!」」「大丈夫です。」
その後は、皆で話し合いをしてから、5階層まで下りた後、転移版で地上に戻るという事になった。
話し合い後は、もう少し休憩してから、3階層へ下りた。
4階層で、新たにモンスターが増えたけど、問題なく進んで行き、5階層へ到達し半分ほど進んだ所で、
「きゃ~~~~~~~~!!」
女性の悲鳴のようなものが、僕たちの耳に届いた。