70話・訓練 2
まずは、動かないスライムで訓練を開始する。
「それじゃあ、ソフィア始めるよ。杖の性能も見てみたいから、最初は杖の魔法を使って貰ってもいいかい?」
「分かった!!」
そう言って、ソフィアは、杖を構える。
「ファイアーボール」
ソフィアの言葉に、世界樹の杖についてある赤色の魔法石が反応し、普通より大きな火の玉がスライムめがけて飛んでいき、着弾する。数秒で、スライムは魔石に変わった。
ソフィアは、スライムが魔石に変わった瞬間、それを拾いに駆け出し、魔石を拾うと、目をキラキラさせながら、僕の元へ戻ってきた。
「やったよ、お兄ちゃん!! ちゃんと、見ててくれた!!」
「ちゃんと、見たよソフィア。でも、今は訓練だからいいけど、もしかしたら他のモンスターがいるかも知れないから、警戒を怠ったらダメだぞ?」
頭を撫でながら誉めつつ、悪い点も指摘する。
「うん、気を付ける!!」
「それじゃあ、後何度か試した後、次は動くスライムを相手にしてみようか?」
「うん!!」
その後も、何度か同じ事を繰り返し、杖の性能も確認できたので、次に移る。
「それじゃあ、ソフィア。次は動くスライムを相手にしてみようか?」
「うん!!」
ソフィアに確認をとった後僕は、スライムを創作する。
「それじゃあ、動かすから気を付けるんだぞ?」
「分かった!!」
僕は、動けと命じるとスライムは動き始める。
スライムは、すぐにソフィアの事を敵と認識したのか、ソフィアにむかっていく。
それに対しソフィアは、すぐに魔法を使うのではなく、スライムの動きを観察している。
体当たりしてきたスライムを、タイミング良く横に避ける事で躱し、着地したスライムめがけて魔法を放ち、勝利を納める。
「凄いよ、ソフィア。いけそうなら次は、数を増やしてみるかい?」
「ありがとう、お兄ちゃん!! うん、お願い!!」
「なら、ちょっと待ってな…」
"アコ、次はソフィアの前と後ろに1体ずつ、そして僕の後ろに1体お願い"
『分かりました』
僕がお願いした通り、3体のスライムが現れる。
「それじゃあ、準備はいいかい?」
「うん、大丈夫!!」
僕は、ソフィアの前と後ろにいるスライムに動くよう命じる。ソフィアは、動き始めたスライムを観察しながら、魔法を使い、ものの数分で魔石に変わった。ソフィアは、僕に背をむけ魔石を回収しようとしたので、僕は、3体目のスライムの後ろに回り込み、動くよう命じる。スライムは、僅かな音をたてながら、ソフィアにむかっていく。最初に忠告した通り、警戒をしていたのか、すぐに音に気付き、振り替える。杖を構え直し、体当たりしてきたスライム目掛けて杖を振りおろした。
スライムは、そのまま地面に叩きつけられ、叩きつけたスライムに止めの魔法を放つ。
「ファイアーボール!!」
スライムは、あっという間に魔石に変わった。
周りに警戒しながら魔石を全て回収にソフィアが戻ってくる。ただ、最初の時とは違い少し口を尖らせていた。
「お兄ちゃん!!」
「ごめんな。でも、ちゃんと警戒していて偉いぞ!!」
そう言いながら、頭を撫でる。
「えへへへ~」
「もう少し、続けるか?」
「うん、お願い!!」
その後は、モンスターを変えたりしながら、ソフィアの訓練は夕方くらいまで続いた。