表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/389

7話・付与武器の効果

 草や葉を踏む音が、どんどんこちらに迫ってくる。僕は握る手に力を込め、音を便りに近づいてきたゴブリンにむかって、思いっきり剣を振るった。


 ザシュ


 剣は、運良くゴブリンの首に当たり、そのまま首を斬り飛ばしていた。


「え…」


 僕は、飛んでいく首を唖然と眺めていた。

 昨日は、体重をかけてやっと斬り飛ばしたというのに、今回は、昨日と比べると抵抗少なく、首を斬り飛ばす事に成功した。

 思い当たる節は、無くはない。そっと、持っている武器を見る。


「こ… これが付与武器の効果か…」


 ゴブリンは、そのまま消失し、魔石だけを残す。

 ふと我に帰った僕は、魔石を回収して、すぐにその場を後にしようとしたが、


 ガサガサ


 音がした方を見ると、既に2匹目のゴブリンが戻って来ていた。


「グギャ!!」


 ゴブリンは、お怒り気味に持っていた剣を降り下ろしてくる。僕は、それを転げるように、躱す。すぐに体を起こし、剣を構える。この剣ならと、今度は自分からゴブリンに斬りかかる。だけど、振り下ろした剣は、普通にゴブリンの剣によって弾かれてしまい、逆に体当たりをくらい弾き飛ばされてしまった。


「グギャギャギャ~!!」


 追撃を受けないようにと急いで立ち上がるが、ゴブリンは追撃をしようとせずに、僕を見て笑っていた。

 少し頭に来たが、頭に血が上がった状態では勝てないと察した僕は、深呼吸をし、すぐに心を落ち着かせる。         

 心を落ち着かせた後、ゴブリンを、見てみるが、まだ、こちらを見て笑っており攻撃をしてくる様子はない。僕は、この間に、どうするのかを考える。

 先ほどの攻防で、力は完全にゴブリンの方が上だし、たぶん、敏捷もむこうが上だろう。だから、何度打ち込んでも意味がないし、逃げ出す事も少し厳しいだろう。

 なら、昨日と同じ手を使ってみるかと、僕はしゃがみこんで土を握りしめ、その土をまだ笑っているゴブリンの顔目掛けて投げつけながら、ゴブリンにむかって駆け出す。


「グギャ!!」


 今回は、腕で顔を防がれうまく目に入らなかったようで、すぐに僕目掛けて、剣を降り下ろしてくる。

 僕は、止まらず駆け出した勢いのまま体をひねり、振り下ろされた剣を躱しつつ、その回転を生かし剣を横に振り回す。


 ザシュ


「グギャー!!」


 腕を肩から斬り落とせた。ゴブリンは、痛みで剣を離し、地面をのたうち回る。最大の攻撃チャンスを逃す筈もなく、すぐに僕はゴブリンの上に跨がり、頭目掛けて剣を突き立て止めを刺す。ゴブリンは、少しして、消失し魔石だけを残した。

 本来ならすぐにでも森を出るべきなのだが、疲れた僕は、その場に倒れこむ。倒れこむと同時に、疲れがどっと押し寄せてくる。

 体が鉛のように重い。このまま眠ってしまいたい気持ちに駆られたが、息を整え、疲れた体に鞭をうち、魔石を回収して、今でる最高速度(早歩き)で、その場を後にした。



 ◇



 森を出た時には、日はだいぶ暮れていた。

 このまま川で血を洗い落としてから街に戻ると、その時には、既に門を閉められ街に入れない可能性がある。だから、血を洗い落とさずに、そのまま街へ戻った。

 入り口で少し嫌な顔をされるも、門が閉まる前に何とか街へ戻れた。

 街の中に入ると、ギルドで回復草の採取達成の報告を手早く済ませ、家に帰りつき簡単に血だけを拭い、部屋に戻ると、皮鎧を脱ぎ捨て、そのまま、泥のように眠りに着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ