51話・ダンジョンマスター
『称号:ダンジョンマスターを入手しました』
あの時、聞いた声が聞こえたような気がしながら、僕の意識は、完全に途絶えた。
◆
「お兄ちゃん!!」
私は、倒れたお兄ちゃんのもとに、駆け寄る。
「お兄ちゃん、大丈夫!!」
体を揺するが、反応はない。
「お兄ちゃん!! お兄ちゃん!!」
「大丈夫… 少し疲れただけ…」
私は、すぐにお兄ちゃんの頭を膝の上にのせる。顔色は少し悪そうだけど、胸は規則正しく上下している。
「寝てるだけなの…」
私は、お兄ちゃんが起きるのを、その体勢のまま待つ事にした。
◆
「う… ここは…」
「お兄ちゃん!! 良かった…」
目の前には、ソフィアの顔があった。
「ソフィア? 僕はいったい…」
「お兄ちゃん、あの玉に魔力を吸わせた後、倒れたの…」
「そうだったな…」
じわじわと、意識が途切れる前の事を思い出す。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「あぁ、ちょっと体が重いだけで、後は特に…」
ん、そういえば、何でソフィアの顔が目の前にあるんだ? 頭の下も、何だか柔らかいような…
「!?」
僕は、すぐに体を起こそうとするが、
「ダメ!!」
ソフィアに頭を押さえられる。
「ソフィア?」
「お… お兄ちゃん、ちゃんと治るまで、こ… このままの方がいいよ!!」
見上げると、ソフィアの顔が赤くなっている。
「そうか… なら、お願いしようかな…」
「うん!!」
僕は、もうしばらくソフィアの膝の上で休む事にした。
しばらく、休んだ後、
「もう、大丈夫だよ。」
「そ… そうですか!!」
僕が、体を起こすと、
『回復して良かったです、マスター』
ん、今誰かの声がしたような…
周りを見てみるが、僕とソフィア以外いない。
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
僕が、辺りを見渡したのが、気になったのかソフィアが尋ねてくる。
「今誰かの声が聞こえたような気がしたけど、気のせい…」
『こっちですよ、マスター』
「!? やっぱり、声が… こっち?」
何となく、玉の方を見てみると、
『正解です、マスター』
…やっぱり、この玉からの声だった。
「君はいったい、誰なんだ?」
『私は、ダンジョンコアです』
「ダンジョンコア?」
「お… お兄ちゃん、誰と話してるの?」
心配そうに、ソフィアが聞いてくる。
「ソフィアには、聞こえないのか…」
『はい。この声は、ダンジョンマスターである貴方にしか、聞こえません』
ダンジョンマスター? そういえば、そんな声を聞いたような気が…
「説明するから、ちょっと待ってなソフィア。」
「はい…」
僕は、カードを取り出し、魔力を流す。
名前:ノーリ 種族:人族 年齢:11 性別:男
LV: 40 生命力:C 魔力:S
力: C 器用: C 防御:C 敏捷: C
知力: A 精神:C 運: B 魅力:C
スキル:剣術Lv4、宝箱作製Lv4、アイテム鑑定Lv3
見切りLv3、アイテムボックスLv2、身体強化Lv2
俊足Lv5、気配察知Lv1、限界突破Lv1、ダンジョン移動
称号:勇者、ダンジョンマスター
到達階層:10階(オベリスタ王国ダンジョン)
スキルポイント:35
称号だけでなく、スキルまで増えてる。
詳細を確認してみる。
ダンジョンマスター ・・・ ダンジョンコアに認められた者に与えられる称号。ダンジョンコアを使い、ダンジョン製作が可能になる。また、スキル:ダンジョン移動を取得。
ダンジョン移動 ・・・ 自身の製作したダンジョン内または、足の踏み入れた事のあるダンジョンに移動可能になる。
これまた、凄い称号とスキルを覚えたな。