48話・床下
家を購入した後、僕たちは、3人で家にむかった。
だけど、ついてくる予定だったメゾンさんは、不動産屋"メゾン"を出る所で、他のお客さんがやって来て、その対応をする為に、ついてこれなくなった。
メゾンさんは、申し訳なさそうに、備え付けの魔道具についての資料を渡してくれた。
だから、結局、ソフィアと2人でむかう事になった。
家には、少しして、到着した。
「大きい家だね、お兄ちゃん!!」
ソフィアが、少しワクワクしてそうな顔で言ってくる。
「そうだな!!」
実の所、僕も少し… いや、かなりワクワクしている。だけど、まだ原因不明の体調不良について何も分かってない事を思い出し、気を引き締め直す。
「ソフィア、メゾンさんが言った通り何が起こるか分からないから、僕から離れたらダメだぞ?」
ソフィアにも、そう言い聞かしておく。
「はい!!」
ぎゅっ ソフィアは、僕に抱きついてくる。
確かに、離れたらダメとは言ったのは、僕なんだけど、
「ソフィア、これじゃあ動けないよ…」
「…そうですね」
ソフィアは離れ、僕の裾を掴むだけに止めてくれる。
「それじゃあ、行こうか?」
「はい!!」
門の鍵を開けてから、敷地に入る。
念の為に、アイテムボックスから、聖剣を取り出しておく。あれ以降、初めて取り出したけど、何年も使っている武器のように、手に馴染んでいる。
家の鍵を開けてから、中へと入る。今の所、あの声は、なりを潜めているのか全く聞こえない。
「1部屋ずつ、見て行こうか?」
「はい!!」
部屋の方から見ていく。中は家具など何も置いていない普通より少し広い部屋だった。次の部屋も変わりなし。
次に、物置部屋の扉を開けた瞬間それは起こった。
『魔力を補給して下さい』
「!?」
その声は、ハッキリと聞こえた。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
どうやら、ソフィアには、聞こえないようだ。
「なぁ、ソフィア…」
「何、お兄ちゃん?」
「1人で中を調べたいから、ここで待っていてもらえるか?」
「どうし… ううん、分かった。」
ソフィアは、言われた通り少し離れて待っていてくれる。
「ありがとう、ソフィア。」
僕は、1人物置部屋へ入る。
物置内は、先ほどの部屋の半分以下の広さで、部屋同様何も置いていない。確認している間も、あの声は聞こえる。
「何もないな… この声はいったいどこから…」
辺りを見ていると、足元… 正確には、床で止まる。
「もしかして、床下?」
僕は床に伏せて、軽く床を叩いてみる。
叩いた時の音が少し変だった。
「床の下に、何かあるの?」
中に入らないように、入り口からソフィアが聞いてくる。
「分からないけど、もしかしたらこの下に空洞があるかもしれない。」
「空洞があるの?」
「あぁ、だから今から調べるから、まだ入ってきたらダメだぞ。」
「分かった…」
僕は、そのまま聖剣を床に突き刺してから、四角形に切りながら、切ったが板が落ちないように、持ち上げる。すると、そこには、
「階段か?」
床下には、階段があった。