46話・許可
家に帰ると、そろそろ昼時だった事もあり、ソフィアたちがお昼ご飯の準備をしていた。僕も、手伝おうかと思ったが、ソフィアに止められた為、出来上がるのを、丁度休みだったダニールさんと待つ事にした。
少しして、出来上がったので、食べ始める。食べ終えた後、僕は先程の件の話を2人に切り出す。
「ポリーナさん、ダニールさん話したい事があるのですがいいですか?」
「別に構わないが、どうかしたのかい?」
「私も、構わないよ。」
2人の了承も得たので、話し始める。
「先程、リハビリがてら散歩してたんですが、その時に… その… 欲しい物が出来てしまいまして…」
「ん、何だいそんな事かい? 別に私たちの許可をとらなくても、ノーリの好きにしていいんだよ?」
「ポリーナの言う通りだよ。お金が足りないという訳ではないんだよね?」
「は… はい。お金は、足りるんですけど… その、かなり高額な物なので…」
「高額な物ってノーリ、あんたいったい何を買う気なんだい?」
「そ… その、家を買おうかと…」
「「「!?」」」
僕の隣で、静かに話を聞いていたソフィアも驚いている。
「ノーリ、あんたが決めた事だから、反対するつもりはないが、一応、理由を教えてくれるんだろうね?」
「それは… その…」
理由って言ったって、特にないんだけどなぁ…
強いていうなら、本能に従ってなんだけど、こんな事言った時には、怒られそうな雰囲気だしなぁ…
「私たちに、話せない事なのかい?」
ポリーナさんが、心配そうな顔で、尋ねてくる。
ヤバい、どうしよう…
「ノーリ君、私も買うことについては、どうこう言うつもりもないけど、やっぱり理由くらいは、聞いときたいね。」
ダニールさんも、心配そうな顔をする。
僕は、気づいたら、どうして買いたいのかを話していた。ただ、余計な心配をかけたくないので、謎の体調不良の件は隠してだ。
「「・・・」」
話し終えても、2人は固まったまま返事がない。
やっぱり、怒られるかな…
「アハハハ、本能に従って、家を買いたいってかい… 全く、心配して損したよ。」
「すみません…」
「こらこら、ポリーナ、笑いすぎだよ。でも、ノーリ君本当に、危なくはないんだろうね?」
ダニールさんの目は真剣そのものだった。
これは、何か感づいているかな… 確かに、謎の体調不良の件はあるが、何故か僕にはどうにか出来そうな気がする。だから、
「大丈夫です!!」
そう返した。
「分かった。でも、前にも言ったけど、何かあったらすぐに私たちを頼る事は、忘れてはダメだよ?」
「はい。」
そうして、2人から売家の購入の許可を得れたのだが、
「私も、お兄ちゃんに、着いていきます!!」
「!? ソフィア、それは…」
断ろうとするが、その前に、
「ダメですか…」
うるうるの上目使いで、僕を見てくる。
だけど、僕は心を鬼にして、
「ポリーナさんたちの許可がおりたらいいよ…」
あっさり、負けました… あの目には、どうも勝てそうにない…
「ありがとう、お兄ちゃん!!」
そう言い、ソフィアは抱きついてくる。
結局、ポリーナさんたちも、ソフィアの勢いに根負けして、許可がおりた。