41話・王城へ
シャーロットの言っている事の意味が分からなかった。
「シャーロットなに言ってるんだ? 冗談だよな?」
「冗談ではないですよ。今から私と、王城へ来て下さい。」
どうやら、僕の聞き間違いでは無いらしい。
「…どうして、そんな話になったんだ?」
「それは当然、私を助けてくれたからですね!!」
シャーロットは、笑顔でそう言ってくる。
まぁ、それしかないよな…
「ちなみに、何のために、王城へ行くのか聞いてもいいか?」
「お父様に会って貰う為ですね!! 」
「シャーロットのお父さんって言うと…」
「この国の国王ですね。」
そうなるよな…
流石に断る訳には、いかないよなぁ…
「はぁ… 分かったよ。会うのはいいけど、でも僕、国王様に謁見出来るような服もってないぞ?」
「それは、大丈夫です。今回は、正式な謁見ではないですから、普段着で大丈夫ですよ!! あんまり、仰々しいのは、ノーリさんが嫌がるかと思ったので、そうして貰いました。」
「そうか… ありがとう、シャーロット。」
「はい!!」
「…それじゃあ、準備してくるから、少し待っていてくれ。」
「分かりました。」
一応、持っている服の中で、一番高価な物に着替えてから、シャーロットと一緒に馬車へとむかう。
シャーロットから馬車へ乗り込むかと思っていたが、いっこうに乗り込もうとしない。
「乗らないのか、シャーロット?」
「どうぞ、ノーリさんから乗って下さい!!」
「? 分かった。」
僕は、先に馬車へ乗り込む。僕の後に、シャーロットも乗り込んでくる。てっきり、むかいの席に座るものだと思っていたのに、シャーロットは、真横に座ってきた。まぁ、確かに二人並んで座っても、余裕はあるけど…
「なぁ、シャーロット?」
「何でしょうか?」
シャーロットの顔は笑顔なのに、すごい圧を感じる。
「…何でもないよ。」
「そうですか。では、出発して下さい!!」
それを合図に、馬車は動き出し、そのまま、王城へむかった。
昨日の疲れがまだ抜けきっていなかったのか、馬車の揺れのが心地よく、次第に目蓋が閉じていった。
◆
ノーリさんの返事がないなと思ってみてみると、
「!?」
ノーリさんが眠っていた。
「バレッタ、バレッタ!!」
私は、御者をしてくれているバレッタを小声で呼ぶ。
「どうしました、シャーロット様?」
「悪いけど、街をゆっくり一周した後、王城へむかってくれる?」
「…分かりました。」
私は、寝ているノーリさんを起こさないように、慎重に行動に移す。何とか、ノーリさんを起こさないで、私の膝の上にノーリさんの頭を置く事に成功した。
「ミッションコンプリート!!」
「んん…」
「はっ!!」
すぐに自分の口を塞ぐ。何とか、起こさずにすんだ。
私は、ノーリさんの頭を撫でながら、束の間を楽しんだ。
◆
「…さん ノーリさん!!」
僕を呼ぶ声で、目を覚ます。すると、何故か目の前に、シャーロットの顔があった。
「おはよう、シャーロット」
「おはようございます、ノーリさん!!」
「あれ? でもなんでシャーロットが…」
次第に覚醒してきた頭で今の状況を思い出す。
僕は、すごい勢いで、体を起こす。
シャーロットから、顔をそらし謝る。
「ご… ごめんね、シャーロット…」
「いえ、気にしないで下さい!! それよりも、よく眠れましたか?」
僕は、返答すること無く、頭を縦に振る。
「それは、良かったです。それじゃあ、行きましょうか?」
「どこ… に…」
開け放たれた、ドアのむこうからは、真っ白な建物が見えた。どうやら、僕が寝ている間に、王城に到着したようだ。