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36話・デカいゴブリン 2

 残っているゴブリンを片付けた。

 そして、最後に残っているデカいゴブリンと対峙する。

 残りのゴブリンを倒している際、デカいゴブリンは、先程みたいに邪魔する事なく、大人しくしていた。

 それどころか、


「グギャギャギャ」


 ゴブリンが倒されていくのを、笑ってみていた。


「何かおかしいな…」


 僕は、よりいっそう気を引き締めて、剣を構える。

 力は完全に、デカイゴブリンの方が上だが、スピードや武器の性能では、僕の方が上だ。

 それを生かし、今度は僕の方から攻撃を仕掛けようとしたら、デカいゴブリンは、僕に背をむける。


「「「え?」」」


 そのままデカいゴブリンは、森の奥へと走り去っていった。何がどうなってるんだ…

 まぁ、だけど、そんな事よりもまずはシャーロットたちの身の安全を優先する為、追う事なく、シャーロットたちのもとへ戻ろうと振り返ると、


「ノーリ!!」


「うおっ!!」


 シャーロットが抱きついてきて、そのまま後ろへ倒れこむ。


「いててててっ…」


 シャーロットを乗せたまま、上半身を起こす。


「無事で良かったです!!」


 それは、こっちのセリフなんだけどな…


「シャーロットも無事で良かったよ…」


「はい!!」


 シャーロットの後ろでは、アネモスさんもこちらに歩いてきている。

 僕は、シャーロットを横に移動させてから、立ち上がる。僕が立ち上がると、少し不満げな顔でシャーロットは僕を見ていた。苦笑いを浮かべながら、手を貸してから、シャーロットを起こす。丁度、アネモスさんも、そばに、来ていた。アネモスさんは、来て早々、


「何から何まで、ありがとうございます、ノーリさん!!」


 深々と頭を下げ、僕にお礼を言ってきた。


「き… 気にしないで下さい!! アネモスさんも、無事で良かったです!!」


「は… はい…」


 僕がそう言うと、アネモスさんは、少し顔を赤くしていた。


「(これは、後でアネモスさんとお話をしないといけませんね…)」


「ん、何か言ったか、シャーロット?」


「な… 何でもないですよ。」


「そう? それよりも、早くここから逃げるぞ!!」


「さっきの、デカいゴブリンが戻ってくるかもしれないからですか?」


「それも、あるけど今大変な事が起こってるんだ!!」


 そう言ってから、今起こっている事を2人に説明する。


「そんな事が起こってるんですね… 分かりました。急いで、戻りましょう。」


「はい!!」


「それじゃあ、僕が先頭を歩くから2人ともついてきて。」


「「はい!!」」


 僕たちは、街へと戻っていく。



 ◆



 道中も、ゴブリンを倒しながら進んでいく。もうそろそろ森を抜けそうな時、シャーロットたちを見つけた時みたいに無数の何かが、森の奥から、こちらにむかって来ているのを感じ取った。たぶん、ゴブリンたちだろう。このペースなら、僕たちが、森を出た時くらいに、追いつかれそうだな…


「!?」


「どうかしましたか、ノーリ?」


 僕が止まった事で、何かを感じ取ったのかシャーロットが聞いてくる。


「2人とも悪いけど、先に行ってくれるか?」


「「!?」」


「どうしてですか!!」


 今度は、アネモスさんが聞いてくる。


「たぶん、ゴブリンたちがこっちにむかって来てます。だから…」


「皆で戦えばいいじゃないですか!!」


「・・・」


 確かにそうなんだけど、これ以上2人に負担をかける訳にはいかない。


「…分かりました。」


「シャーロットさん!!」


「ありがとう、シャーロット…」


 シャーロットは、アネモスさんの手をとり歩きだす。少し歩いた所で、立ち止まる。


「ノーリ、必ず帰ってきて下さい!! 私、待ってますから!!」


「シャーロットさん… ノーリさん、私も待ってます!!」


 ありがとう、2人とも…


「あぁ、必ず帰るよ!!」


 僕も、2人に背をむけ、ゴブリンたちを待ち構える。

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