35話・デカいゴブリン 1
僕は、ゴブリンより厄介になりそうなゴブリンマジシャンを先に倒すため、俊足スキルを使い、ゴブリンの間をぬっていく。
「「******** ヴィンドカッダー!!」」
今度は、前だけでなく、後ろからも魔法が放たれる。
チラッと振り返ると、後ろにもゴブリンの影に隠れて、ゴブリンマジシャンがいた。
だけど、今はゴブリンの間をぬっているので、当たる筈もなく、逆に風の刃が、ゴブリンに被弾して数を減らしていく。その間に、ゴブリンマジシャンの所まで来たので、一振りで斬り伏せる。
同じ方法で、残りのゴブリンマジシャンを倒していく。見た所、今ので最後のゴブリンマジシャンだ。
残りのゴブリンも早く片付けようと振り返ると、
「グギャーーーーー!!」
「!?」
デカいゴブリンが、痺れをきらしたのか、大きな声を上げながら迫って来て、大剣を振り下ろしてくる。受け止めるとヤバそうなので、バックステップで、大剣を躱す。
ドゴーーーン
打ち付けられた大剣は、地面を破壊し、その衝撃で礫が飛んでくる。
「チッ!!」
咄嗟に、バックラーのついてある方の腕で顔を覆い目に入るのを防ぐ。
「うぐっ!!」
視界を遮ったのがいけなかったのか、お腹に、強い衝撃を受けて、僕はふき飛ばされてしまう。そのまま木に打ち付けられて体が止まる。内臓を痛めたのか、口から血が出る。
「ぐふっ!!」
「「ノーリ(さん)!!」」
2人が心配して、僕の方に来ようとするが、
「ぐるな!!」
「「!?」」
口をぬぐいながら何とか、声を張り上げ2人が来るのを止める。
身体中がズキズキとするが、動けない程ではない。たぶん、皮鎧に付与してある物理耐性のおかげだろう。付与が無かったら、死んでいたかもしれない。
すぐに、アイテムボックスから、回復薬を取り出そうかと思ったが、デカいゴブリンがむかってきたので、出来なかった。痛む体にムチを打ち、横に転がりながら、何とか躱す。
デカいゴブリンも僕が弱っている事を察っしたのか、ニチャニチャ笑いながら、
「グギャ!!」
残ってあるゴブリンをけしかけてくる。
先程の痛みで、思うように剣が振れないが、それでも切れ味が鋭いので、何とか倒せている状態だ。早めに回復薬を飲まないと、流石にヤバいな…
「ノーリ、伏せて下さい!!」
僕は、シャーロットの声に従い、すぐ体を伏せる。
「■■ ■■■■■■ ウィンドカッター!!」
風の刃が僕の頭の上を通りすぎていく。
アネモスさんが、魔法を使ってくれたようだ。
「今ですノーリ。回復薬を飲んで下さい!!」
僕は、すぐ体を起こし後ろに下がりながら、アイテムボックスから、回復薬を取り出し一気に飲み干す。
「2人とも、ありがとう!!」
2人に、お礼を言いながら残っているゴブリンを片付けた。
そして、最後に残っているデカいゴブリンと対峙する。