閑話・アネモス・フォン・オジリス 2
「アネモスさん、イディオットさん、私が結界を張りますので、その間に魔法をお願いします!!」
シャーロットさんは、すぐに指示を出してくれる。
「分かりました!!」 「はい…」
シャーロット様が結界魔法を使ってくれる。
「■■■■ ■■■ ホーリーバリア!!」
私たちを囲むように、結界が張られる。
「2人とも、今です!!」
私たちは、詠唱し、魔法を発動する。
「「■■ ■■■■■■ ウィンドカッター!!」」
2人が作り出した、風の刃が、結界を通りすぎゴブリンたちを切り裂く。
「「グギャ!!」」
しっかりと倒せたようで、ゴブリンは消えてしまい、魔石を残す。
私は、魔石は拾い、2人のもとに戻る。
シャーロットさんに、お礼を言われ、シャーロットさんは、先程の話の続きを話す。
「イディオットさん、この魔石を提出すれば、試験を達成した事になります。だから、先程言った通り、一度来た所へ戻りませんか?」
「…分かりました。」
イディオットさんも了承もしたようなので、私たちは来た道を戻ろうとすると、再びゴブリンが現れた。しかも、よく見ると、既に周りをゴブリンに囲まれていた。
シャーロットさんは、すぐに結界を張った。
「■■■■ ■■■ ホーリーバリア!!」
先程のゴブリンと何かが違う感じがするが少し、私は前を、イディオットさんに後ろを任せ、ゴブリン目掛けて魔法を発動する。
「「■■ ■■■■■■ ウィンドカッター!!」」
私の魔法は、先程のようにゴブリンを切り裂くと思っていたのだが、
「「******** ヴィンドカッダー!!」」
「「「!?」」」
私の魔法は、相殺されてしまった。
「あ… あああ」
突然、イディオットさんが、うろたえだす。
私は、どうしたのか尋ねてみる。
「イディオットさん、どうしたんですか?」
イディオットさんは、何も答えない…
イディオットさんは、ある方向を見つめている。私たちは、イディオットさんが見ている方向をむく。
「「!?」」
そこには、ゴブリンの何倍も大きな体躯のゴブリンがそこにいた。
「な… 何ですかあれ…」
自然と声が漏れていた。
その大きなゴブリンは、手に持っていた大剣を結界目掛けて投げてきた。
パリーン
「「きゃ!!」」 「うぉ!!」
シャーロット様の張った結界は壊されてしまう。その衝撃で、私たちは、吹き飛ばされる。
「イディオットさん、転移石の準備をして下さい!!」
シャーロット様は、そう叫ぶ。意図を察した私は、シャーロットさんと共にイディオットさんのもとへむかおうとすると、イディオットさんの姿が消えてしまう。
「ま… まさか…」
今イディオットさんが消える方法は、1つしかない…
「アネモスさん、逃げますよ!!」
私は、シャーロットさんに手をとられる。
「■■ ■■■■■■ ウィンドカッター!!」
シャーロットさんの魔法で、ゴブリンを切り裂かれる。私は、シャーロットさんに手をとられたまま、走り去る。
◆
私は今、シャーロットさんに肩を借りながら逃げている。完全に足手まといだ。だから、
「シャーロットさん、私を置いて逃げて下さい!!」
「ダメです!!」
「ですが、私の足では、もう…」
少し前のゴブリンの魔法を躱した際、私は足を怪我してしまった。
「アネモスさん、あきらめたらダメです!! 絶対に助けは来ますから!!」
「シャーロットさん…」
シャーロットさんは、私を勇気づけてくれる。
だけど、私たちの足は止まってしまう。またしても、ゴブリンたちに囲まれてしまった。
「■■■■ ■■■ ホーリーバリア!!」
シャーロットさんは、すぐに結界を張ってくれる。
私も何とかならないか、知恵を振り絞るが、良い案が浮かばない。浮かばないのに、何故か、彼の頑張っている姿を思い出してしまった。
「ん… て…」
シャーロットさんが何かを呟くと、
「任せろ!!」
それに、答えるかのように、誰かの声がした。
そこには、身に覚えのある彼の背中があった。