閑話・試験
今日は、学園の試験当日。
私は、クラスメイトの皆さんと、森の近くの川にむかっていた。
クラス総数15(本来は、ノーリを入れて16)人。
パーティーは、合計4組出来上がる。メンバー分けは、入学当時(筆記試験と魔力測定)の成績が元に分けられている。
本来なら、学園首席だった、ノーリと次席の私、後2名のパーティーだったけど、ノーリが辞められた関係で、今日は、3人のパーティーで挑む事になっている。
「今日は、よろしくお願いします、シャーロット様!!」
「アネモスさん… 前々から言っていますが、私たちは、クラスメイトで、同じパーティーのメンバーなんですから、もう少し砕けた口調で、大丈夫ですよ。」
私は、パーティーメンバーであるアネモスさんに、そう伝える。アネモスさんは、オベリスタ王国の公爵家のご令嬢だ。礼儀正しく、ノーリの事も、馬鹿にしない数少ないクラスメイトの1人です。ちなみに、アネモスさんは、3席になる。
「そ… そう言う訳には… 「アネモスさん!!」」
ノーリにも、よく使う手を使う。
「…分かりました。なら、改めてよろしくお願いします、シャーロットさん!!」
「はい、お願いします!!」
やっぱり、この手はよく効いた。
川についた後に、試験が始まろうとする。始まる前に、私たちは、最後のパーティーメンバーである、イディオットさんのもとへ行く。イディオットさんは、伯爵家の嫡男で4席になる。そして、ノーリの事を馬鹿にする貴族の筆頭でもある。だから、正直なところ、馬が合わなかったりする。
「「イディオットさん、今日はよろしくお願いします。」」
馬が合わないからと言って、挨拶をしない訳にもいかない。パーティーのメンバーでもあるし、その辺の分別はつけてある。イディオットさんは、こちらを一瞥した後、頭を軽く下げ、挨拶を返してくる。
「…お願いします。」
「それでは、今から試験を始めます。各パーティーは、出発前に、転移石を取りに来て下さい!!」
そう引率の教員が言い、試験が開始される。
私たちのパーティーも、転移石を受け取ってから、森へと入っていく。転移石は、パーティー内で動きが一番鈍いイディオットさんが持つ事になった。不測の事態が起こった際は、私たちが、イディオットさんのもとへ駆けつけ、イディオットさんが転移石を発動する手筈になった。
◆
何かがおかしい…
モンスターが見つからない為、今は森の奥へ少し入って来ていた。ここまで来て、妙な胸騒ぎがしてきた。
「2人とも、何か変な感じがしませんか?」
私は、2人に尋ねてみる。
「シャーロットさんも、そう思いますか? 私も、少し変な違和感を感じてました。」
「俺は別に、何とも…」
イディオットさんの事は、置いとくとして、アネモスさんは、私と同じく何かを感じとっている。
「…一度来た場所まで、戻りませんか?」
「そうで…「待って下さい!! 試験はどうするんですか? まだ、モンスターは1匹も倒してません!!」」
イディオットさんが、反論する。
「…イディオットさん、一度来た場所まで、戻るだけで、試験事態を中止する訳ではありません。」
「ですが…」
「シャーロットさん、モンスターです!!」
「「!?」」
前の草むらから、数匹のゴブリンが現れていた。




