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300話・今起きた体

 寝たふりを続けながら2人のやり取りの様子を伺う。

 エルマーナさんは、グラディウスさんの冗談を声を荒げ否定する。

 近くで大きな声を出された為、一瞬体がビクッと反応してしまう。


『ヤバい。バレたか!?』


 エルマーナさんは兎も角、こちら側を向いているグラディウスさんにバレてしまったのではないかと焦ったが、


「ちょっと、エル。冗談よ冗談。」


 バレる事なく、2人の会話は続いたのでひと安心する。


「そ… そうですよね。全くお姉様も冗談はほどほどにして下さいね。」


「ごめんごめん。でもね、エル。」


「な… 何でしょうか?」


「そんなに強く否定すると逆に怪しいわよ?」


「!? あ… いや… その…」


「ふふ。これも冗談よ、エル。それより、ノーリ君をそろそろ起こしましょう。たぶん、皆待ってるわ。」


「そ… そうですね!! 皆を待たせる訳にはいきませんよね!! ノーリさんノーリさん起きてください。」


 エルマーナさんに肩を揺らされたので、このタイミングで起きた風を装い、


「ふ… ふぁ。あれ、エルマーナさん。それに、グラディウスさんもどうされたんですか?」


 何故ここにいるのか知らない体で質問する。


「あのですね、夕食の用意が出来たので、起こしに来ました。」


「そうだったんだね。わざわざありがとう、エルマーナさん。」


「いえ、気にしないで下さい。では、ノーリさん、参りましょうか。」


「はい。あ、でも、寝起きなんで、先に顔を洗って来てもいいかな?」


「そうですよね。分かりました。では、私は先に戻ってその事を伝えておきますね。」


 そう残して、少し顔の赤いエルマーナさんは、やや小走りで部屋を後にした。


「ふふ。エルったら、あんなに慌てなくてもいいのにね。そうは思わない、ノーリ君?」


「さ… さぁ、どうなんでしょうね。」


 確かに慌てていたが、慌てている理由を知っているのもおかしいので、ここは言葉を濁しておく。


「ふふ、まぁいいわ。それよりノーリ君、1ついいかしら?」


「はい、どうしました?」


「ノーリ君。貴方起きてたでしょ?」


「!?」


 グラディウスさんの言葉に、返事も出来ず、ただただ驚いてしまう。


「ふふ。その顔は、どうやら当たってたみたいね。」


「…鎌を掛けたんですか?」


「そうなるわね。まぁでも、ノーリ君。エルが否定した時に、体が反応していたでしょ?」


「うっ… 気づいていたんですか?」


「まぁね。でも、寝たふりをしていたって事はエルに気づかれたくなかったんでしょ?」


「まぁ、はい。」


「ならこの事は、内緒にしておくわ。」


「ありがとうございます、グラディウスさん。」


「別にいいわ。なら、私も先にいくから、顔を洗ったらすぐ来てね。」


「はい、分かりました。」


 ベッドから起き上がり、すぐ顔を洗いにいく。

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