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32話・シャーロットのもとへ

 サブマスターがあれで、ギルドマスターは不在…

 誰かが、行動に移さないと、王都が大変な事になる。 

 だから、私は、すぐに緊急クエストを発令した。

 緊急クエストとは、災害が発生した時、全ての冒険者を半強制的に動かす事の出来るクエストの事だ。


 その後は、王城からの使いもやって来て、短時間で話を済まし、冒険者と国の軍をもってして、ゴブリンの大群を迎え撃つ事になった。



 ◆



 ダンジョンから、出ると何となくだが、空気が張りつめているような感じがした。

 近くに、いたギルド職員に話を聞いてみる。


「すみません、何かあったんですか?」


「冒険者の方ですね?」


「はい、そうです。」


「今、現在この街にモンスターの大群が、迫ってきています。その関係で、緊急クエストが発令されました。あなたもすぐに、冒険者ギルドへむかって下さい!!」


 緊急クエスト… そんな事よりも、


「そのモンスターは、どこから来てるんですか!!」


 僕は、職員に詰め寄った。


「お… 落ち着いて下さい。たしか、近くの森からだったと思います。」


 僕は、それを聞いてすぐ走り出していた。

 走りながら、先日のシャーロットとの会話を思い返していた。



 ◆



「それじゃあ、今度学園の試験で、近くの森に行くんだ?」


「はい、正確には、森の近くの川ですね。」


「それで、その試験の内容が、魔法を使ってのモンスターの討伐だと?」


「はい、そうです。」


 なら、やっぱり学園にいてても、僕はその試験を受からなかったな… だって、魔法使えないし…


「だけど危なくないか、その試験?」


 ふと、気になったので、聞いてみた。


「確かに、危ないかも知れませんが、モンスターの少ない森だと聞いてますし、一応、クラスで組んでいるパーティー1組ずつに、場所を魔法学園に設定している転移石を配られる予定になってますから、たぶん大丈夫ではないかと思います。」


「転移石か… なら、大丈夫かな?」


「はい!!」


 転移石とは、予め決められた場所に一度だけ転移する事の出来る、相当高額な代物だ。学園には、貴族の子息も多い為、その為の措置なんだろう。


「あ、でもやっぱり少し心配だから、これを渡しとくよ。」


 僕は、アイテムボックスから、二重付与された首飾りを取り出し、シャーロットに手渡す。

 この首飾りは、シャーロットの為に、作製しておいた物だ。当然、ソフィアに渡した物も既に、二重付与に変えてある。


「こ… これは?」


「お守りみたいな物かな。」


「これを私に?」


「いらなかったか?」


「い… いえ、そう言うわけではないです… (でも、出来れば、指輪の方が…)」



 最後の方は、声が小さくて聞き取れない。


「何か言ったか?」


「な… なんでもありません!! そ… それよりも、ノーリさんがつけてくれませんか?」


「僕が?」


「だ… ダメでしょうか?」


 シャーロットは、上目遣いで見てくる。


「分かったよ…」


 首飾りを受け取ってから、シャーロットに首飾りをつける。


「ありがとうございます!!」


 シャーロットは、笑顔でお礼を言ってくる。

 その後も、時間が来るまで、シャーロットを話を続けた。



 ◆



「シャーロット無事でいてくれよ!!」


 僕は、スキルも使いながら、ギルドではなく魔法学園にむかった。

 学園についた頃には、学園内も騒然としていた。

 門兵を振り切り中へと入り、予めシャーロットから聞いていた、転移石指定の学園の広場にむかった。

 広場には、転移してきたと思われる元クラスメイトたちがいた。だけど、シャーロットの姿が何処にも見当たらなかった。


「イディオット!! シャーロットはどこだ!!」


 僕は、ガタガタと震えているシャーロットとパーティーを組んでいた筈のイディオットに詰め寄った。

 だけど、イディオットは、僕の声が聞こえていないのか、うわ言のように何かを呟いている。


「俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない…」


 こいつまさか…


「イディオット!!」


 肩に手を置くと、


「お… 俺に触るな!!」


 イディオットは、勢いよく僕の手を振り払う。


「む… 無能がなぜこんな所にいるんだ!!」


「そんな事よりも、イディオット、正直に答えろシャーロットはどうした?」


「!? な… 何の事だ!!」


「お前が、今日の試験で、シャーロットたちとパーティー組んでいた事は、シャーロットに聞いて知っている?」


「!? お… 俺は悪くない!!」


「お前、やはり1人で逃げて来たんだな…」


「俺は悪くない!!」


「大馬鹿野郎!!」


 僕は、イディオットをぶん殴っていた。

 ぶん殴った後は、イディオットがどうなったか確認もせずに、シャーロットのもとへ駆け出した。

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