290話・目的のアイテム
理由をラウムさんに話す。
まぁでも、エルマーナさんが、ラウムさんに対して怒っていない事は確認済みなので、2人の仲が悪くなる事はないと思う。
「ふふ… そう、私たちの為なのね。なら、後でエルと話し合ってみるわ。」
「はい、お願いします。」
「まぁでも、エルならそんな事で怒ったりはしないと思うから、ノーリも私たちの仲を心配しなくで。」
「そうですね。分かりました。あ、話は以上です。」
「そう。なら、ゆっくり休んで頂戴。」
「はい。では、失礼します。」
僕はラウムさんと別れ、あてがわれた部屋へと戻ってベッドに腰かける。
「ふぁ…」
大きな欠伸が溢れる。
このまま横になって寝たい所だが、その前にやる事があった。
「えっと、何かいいアイテムはないかなっと…」
レシピ検索の全閲覧を眺めながら、離れていてもエルマーナさんと連絡の取れるアイテムがないか探してみる。
「ふぁ… お、これなんていいかも。」
動かしていた手を止め、内容をよく確認してみる。
アイテム名:マジカルパワーテレフォン
必要素材:魔石(大)×レアメタル×魔結晶×共鳴石×声音石
効能:魔力のある場所ならどこでも使用する事が出来る。登録した魔力を流す事によって、共鳴石通しを一時的に繋ぐ。そして、繋げた際に、相手側も登録した魔力を流す事で、内蔵された声音石を通して会話する事が出来る。正し、会話中は、常に使用者の魔力を消費する。
また、流す魔力を止める事で通話を終了する。
「聞いた事ない素材もあるけど、探していた目的にもあっているから、これでいいかな。 ふぁ…」
とりあえず、目的のアイテムはこれに決めた。
それで、今手元にある素材を確認してから寝ようと、アイテムボックス内を探し、アイテムを取り出す。
「…よくよく考えれば、魔石以外持っている訳ないか。しかも、魔石と間違えて、転移結晶を取り出してるし… ふぁ…」
眠くて考える力も低下しているようだ。
「もうこれを戻してから寝よう…」
アイテムボックスに、間違えて取り出した転移結晶を戻そうとした瞬間、正面に気配を感じた。
バッと顔を上げると、扉が開く音はしていない筈なのに、そこには何故かグラディウスさんが立っていた。
それに驚きながらも、どうしたのか尋ねると、それに答えてくれると同時に、僕が持つアイテムについて尋ねてきた。
一瞬何の事なのか分からなかったが、すぐ自分が持っているアイテムに視線を移した後、手遅れであるのにも関わらず、それを背中に隠してしまう。




