閑話・戻ってきたら
翌日、レジーナにも暗部からの聞いた報告を話した。
「そう… やっぱり、あいつがエルマーナに呪詛をかけた犯人だったのね…」
「そうみたいだな。」
「はぁ…」
「ん? ため息なんてついてどうかしたのか?」
「いや、犯人が分かったのはいい事なんだけど、犯人が分かった時やろうと思ってた事があったから…」
「やろうと思ってた事?」
「えぇ。どんな理由であれ、エルマーナにあんな事をした犯人を必ず1発は殴ってやろうと思ってたの。」
レジーナから、ゴゴゴゴと圧を感じる。
「そ… そうか。まぁ、分からないでもないが、とりあえず落ち着きなさい。」
「そうね。それで、フーリッシュの他にも今回の件で関わっている人はいなかったの?」
「今暗部に念入りに調べさせているから、そこは報告待ちだな。」
「そう。分かったら、すぐ教えてね。」
「分かってるよ。なら、今日の仕事を頑張ろうか。」
「そうね。頑張りましょう。」
とりあえず、仕事に取りかかった。
◆
お母さんたちに別れを告げ、転移結晶を使い転移した。
「うぉ!! って、グラディウスさん!!」
「あ、ノーリ君!!」
転移した先に、驚いた顔のノーリくんがそこにいた。
エルマーナにどう話を切り出すか考えていたせいで、ついいつもの癖で、ノーリ君が泊まった部屋へと転移してしまった。
「急にごめ… ん?」
驚かせてしまった事に対して謝ろうとした所で、ノーリ君が手に持っていた物に視線がいってしまった。
「あ、いえ大丈夫です。でも、急に現れてどうし… て、グラディウスさんどうかしましたか?」
ノーリ君に声をかけられ、
「え、あ、ごめん。急に現れて驚かしたわね。ちょっと外に出てて、転移結晶を使って戻ってきたの。その時考え事をしてて、間違えていつも私が泊まってた部屋に間違えて転移してしまったの。」
改めて謝り、急に現れた理由を話す。
「そうだったんですね。だから、急に現れたんですね。」
私の話で納得したノーリ君に、
「それで、ノーリ君。話は変わるんだけど一つ聞いていいかな?」
そう尋ねる。
「はい、何でしょうか?」
「その手に持っている物って、私の勘違いでないなら、もしかしてだけど転移結晶じゃない?」
今しがた使用したばかりだから間違える筈もないけど、確認してみる。
「え… あ!!」
ノーリ君は、手に持っていた転移結晶を確認した後、大きな声を出しながら、さっと後ろに隠した。
今の反応をみた感じ、あれはやっぱり転移結晶で間違いないだろう。
「ノーリ君、今更隠しても遅いわよ…」
今のノーリ君の行動に、内心くすりと笑みを溢しながら、手遅れであることを伝える。