閑話・暗部からの報告 2
暗部が回収したフーリッシュが身に付けていた腕輪が呪詛返し対策の腕輪である事を知らされる。
だが、暗部曰く、その腕輪は壊れているとの事だった。
「どういう事だ? 使用されたから壊れたとかではないのか?」
「はい。腕輪じたいに真新しい跡があったので、たぶんどこかでぶつけたのではないかと思います。」
「そうか… ん? でも慎重なあいつが、ぶつけた後に壊れていないか確認しない訳ないと思うんだが?」
ふと気になった事を口にすると、
「それについて何ですが、昨夜フーリッシュは、かなりの量のお酒を飲まれていたようです。」
「まさか、酔った際にぶつけて、壊れた事に気づかなかったと?」
「その可能性が高いのではないかと思われます。」
「そうか…」
そんな奴に、娘があんな目に遭わされていたと考えると更なる怒りが沸々とすると同時に、なにも出来なかった自分が惨めになってくる。
「ならフーリッシュは、呪詛返しを受け亡くなったと仮定し、家の中に呪詛をかけた証拠がないかどうか徹底的に調べさせ、そして同時に、再度この件に関わっている人がいないかどうかも調べてくれ。」
「はっ!!」
そう指示を出すと、暗部の者は音もなく消えた。
暗部が消えたのを確認し、
「これで片付くといいですね…」
レジーナがそう話しかけてくる。
「そうだな。もうこの件を終わらせて、早く娘たちと会ってこの手で抱き締めたいよ。」
「ふふ、そうね。なら、もう一踏ん張り頑張りましょう。」
「そうだな。なら、今出来る事を頑張るとしようか。」
そう言って立ち上がって、先程あまり進まなかった仕事に取りかかった。
そして、その日の夜、暗部が報告にやって来た。
「それで、何か新しく分かった事はあるか?」
「はい。フーリッシュの執務室から通じる地下室を発見しました。」
「地下室… して何があった?」
逸る気持ちを押さえながら、先を促す。
「呪具など呪詛関連に関わりのある品多数発見しております。それに、エルマーナ様に対して使用したであろう品も見つけております。」
「!? そうか。これでエルマーナに呪詛をかけたのが、フーリッシュである事が確定したか… この手で直接制裁を与えたかったが仕方ない… それで、フーリッシュ以外でこの件に関与してある人物は見つかったか?」
「今現在、再調査を慎重におこなっております。もう暫くお時間を頂けたらと存じます。」
「構わん。ただ、抜けがないよう頼んだよ。」
「はっ!!」
「他は何かあるか?」
「以上になります。」
「そうか。では、下がってくれ。」
暗部は一礼して姿を消した。
作者より(捕捉)
フーリッシュの執務室には侵入対策用の魔道具を多数設置していた為、慎重に調査を進めていた暗部も、明確に調査をしているとバレないように、執務室内の調査をせずに、目星をつけているだけで止めていました。




