31話・10階層のボス
そんな時、鐘の音が鳴り響いた。
「こ… この音は…」
「モンスターの襲来!!」
周りの冒険者が、騒ぎ出す。
すると、奥からサブマスターが出て来た。
「何だこの音は!! 静かにさせろ!!」
まさか、この音がなんなのか、分かっていないの…
「さ… サブマスター!!」
「何だ!!」
「この鐘の意味をご存知無いのですか?」
「鐘の音の意味だと? 何の事だ?」
まさか、ここまで馬鹿だとは思わなかった…
「この鐘の音は、モンスターの襲来を意味しています…」
「な… 何だと…」
バンッ
ギルドの扉が勢いよく開く。
「た… 大変だ!! ゴブリンの大群がこの街にむかって来ているぞ!!」
「ご… ゴブリンの大群だと!! クソ!!」
サブマスターは、凄い勢いで、どこかへ行こうとする。
「サブマスターどこに行くつもりですか!!」
私は、サブマスターをひき止めようとするが、
「黙れ!!」
「きゃ!!」
振り払いながら、サブマスターは、奥へと消えていった。
◆
30分程で、10階層の扉が開くようになった。
早速、扉の奥へ入って行く。
中には、情報通り中型サイズのスライムの上に、普通のゴブリンよりひとまわり小さいゴブリンが乗っていた。
扉が閉まりきると、ゴブリンキャバリーが動き出した。
「グギャ!!」
ゴブリンキャバリーは、そのまま突進してくる。
ゴブリンを乗せたままなのに、ヒューズスライムの動きは、思っていたよりも速い。だけど、対応出来ない速度ではない。横っ飛びで、突進を躱す。
すぐに、起き上がり昨日試せなかった俊足を使い、ゴブリンキャバリーにむかっていき、ゴブリンの方目掛けて剣を振り下ろす。
「…まじかよ。」
ゴブリンは、ヒューズスライムの上から逃げてしまった為、スライムが真っ二つになった。
「痛っ!!」
飛んでいった、ゴブリンに注目してしまって、ヒューズスライムの体当たりを直接受けてしまう。スライム系なので、真っ二つに、しただけでは、倒しきれなかったようだ。やっぱり核を攻撃しないとダメだな。
起き上がる時には、逃げていたゴブリンがヒューズスライムの上に戻っていた。今更なのだが、乗る意味があるのだろうか?
「グギャギャ!!」
あのゴブリン笑ってやがる…
少しイラッとくる。
ゴブリンキャバリーは、またしても突進してくる。
今度は、躱すのではなく、受け止める為に、バックラーを構える。身体強化も既に、発動済みだ。
ドシンッ
「うっ」
ギリギリ受け止めつつ、ヒューズスライムの核目掛けて、剣を突き刺す。しっかり、核を破壊する事に成功した。ヒューズスライムが消えたせいか、ゴブリンは、地面に落ちる。落ちたゴブリンを首をはねゴブリンキャバリーを倒した。
消えた後には、魔石が2つ落ちていた。それを拾い調べてみると、2つとも魔石(小)だった。アイテム鑑定が終わった時に、
ポンッ
軽快な音と共に、宝箱が出現した。
「これが、攻略報酬かな?」
攻略報酬は、ボスを倒す事で、出現する宝箱の事だ。
早速、開けてみると、1本の短剣が入っていた。短剣を取り出すと、宝箱は消えてしまう。
アイテム鑑定を使ってから、その短剣を調べる。
ゴブリンの短剣 ・・・ 普通の短剣よりも鋭さがましてある短剣。
報酬も情報通りだが、まぁ何とも言えない武器だ。
とりあえず、それをアイテムボックスに入れてから、入って来た方とは逆の扉を開け、階段を降りていく。
6階層へ行く時同様、11階層へ行く前に、転移版が置いてある、少し広めの場所に出る。
キリがいいので、今日は、転移版を使い、地上に戻った。