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閑話・フーリッシュ 4

 呪詛対策の為に、常に魔道具《腕輪型》を身に付け出してから、早数日が経過した。

 だが、魔道具が反応した様子がない事から、私がかけた呪詛はまだしっかりと継続していると判断出来る。

 ニヤリと口角を上げながら、私のかけた呪詛は完璧であると自画自賛する。


「さて、それでこの数日で分かった事は、本当に、この国の中にはいなかったという事と、どうやら教育係である王妃の姉の姿も消えているというか… 居場所くらい知っておきたかったが、外だと見つかる可能性は低いか…」


 念の為に、見つけ出しておきたかったが、外での(つて)が殆どない為、諦める事にした。



 ◆


 いつものように寝る前に、お酒を嗜みながら、あいつの顔を思い出す。


「くくく… あの顔を見る限り、大分呪詛が進行しているみたいだな」


 娘が呪詛に侵されている事は隠しているようで、何も知らない振りをしながら、それとなく娘の事について聞いてみる。

 すると、何でもない風を装ってはいるが、呪詛に侵されている事を知っている私から見れば、不安や怒りを全然隠しきれていなかった。

 初めてやった呪詛の経過を見れないのは残念だが、この顔を見れるだけで満足しておく事にする。


「ん、もうないのか…」


 近くに置いてあったベルを鳴らし、追加の酒とツマミを持ってくるよう伝え、持ってきた酒を追加で飲んでいく。


「ふぁ… さて、そろそろ休もうかね…」


 再び、ベルを鳴らし、片付けるよう伝え立ち上がった所で、


「おっと…」


 視界がぼやけ、足元がふらついてしまい、勢い良く座ってた椅子に腰かけてしまう。


「大丈夫ですか、フーリッシュ様?」


「あぁ… 大丈夫だ…」


 ついつい、いつもよりも早いペースで、量も飲んだ事で、酔ってしまったようだ。


「左様ですか。では寝所までお連れしますので、どうぞ、私の肩にお捕まり下さい。」


「あぁ、分かっ… 痛っ…」


 手を伸ばそうとした所で、ズキッと痛みが走る。


「どうされました!?」


 痛みが走った手首を見てみると、少し赤くなっていた。


「フーリッシュ様?」


「いや… さっきふらついて座った時に、少し腕を打っただけみたいだ…」


「治療士をお呼びになりますか?」


「いや、いい… それより肩を」


「かしこまりました。」


 今度こそ執事の肩を借り、ベッドに腰かけた後横になる。


「では、失礼します。」


 片付けを済ませた執事が退室するのを朧気に見ながら、眠りについた。



 ◆



「ぁ!!」


 突然の痛みで目を覚ます。


「ぁ… あ…」


 誰かを呼ぼうにも、声が出せないほどの痛みが次から次へと襲ってきて、体を動かすのもままならない。

 その痛みが治まってきたかと思った瞬間、今度は強烈な眠気が襲ってきて、抵抗も出来ずに、意識が遠のいていった。

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