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閑話・フーリッシュ 2

 あいつ… いや、あいつらの娘のエルマーナを呪うと決めてから、必要な物を集め終え、結構当日がやってきた。

 それらを使い、呪詛を発動させると確かな手応えを感じ、呪詛が成功した事を察する。


「さて、あいつらはどんな顔をするのだろうね…」


 その光景を思い浮かべ、自然と口の端が上がっていた。


「おっと。今はいいが、あいつらの前では笑わないようにしないとな…」


 あいつらに、変に怪しまれないように気を付けないといけないと思いながら、手早く片付けを済ます。

 片付けも終わったから、この部屋を後に、上へと戻った。



 ◆



 呪詛を成功させてから、早数日が経過した。

 徐々にではあるが、呪詛が進行しているのを確認している。

 だけど、未だ呪詛をかけられた事に気づいていないあいつらを見ていると、笑いを堪えるが大変だった。


「お笑いになられておりましたが、何か良い事でも、ございましたか?」


 私が笑っている事に気づいた執事がそう聞いてくる。


「いや、何でもない。気にするな。」


 呪詛の件については、誰にも話していない。

 なぜなら、知っている人が増える度に、この情報が漏洩する可能性も高くなってしまうからだ。それに、万が一にも、話が漏れてしまった際、あいつらの耳に情報がいくのだけはさけたい。

 だから、それなら、バレるリスクを完全に失くす為に、誰にも話さない方がいいと思ったからだ。


「かしこまりました。では、何かございましたら及び下さい。」


「あぁ。」


 執事を下がらせてから、再びあいつらの間抜け顔を思い出し、笑みを溢す。



 ◆



 やっとあいつらは、エルマーナにかけた呪詛に気づいたようだ。

 すぐに何かしら動いたようだが、あの呪詛は、かなり強い呪詛なので、効果が全くないようだった。

 何かしらの理由をつけ、あいつらの顔を見に向かったが、想像以上の顔をしており、あいつらと別れてすぐ柱の影で笑ってしまった。

 今日は、何も出来ずに絶望している2人を肴に、とっておいたワインを開けた。



 ◆



 最近、エルマーナの姿を見なくなった。

 あの呪詛は、徐々に効果を発揮するので、死ぬには、まだまだ時間がかかる筈だし、もし死んだのなら死んだで、そう言った話が耳に入ってきてもおかしくない筈だ。


「そう言えば最近、国を出たもう一人の娘が帰って来たと噂になってたな…」


 私が直接見た訳ではないが、周りの様子から戻って来たのは確かな事だろう。


「もしかして、一緒に国を出たのか?」


 そう言った考えにいきつく。


「調べなくてはいけないな…」


 外に出たからといって、私のかけた呪詛が解呪されるとは思わないが、外に出たのか、国に残っているのかどうかくらい知っておいた方がいいと判断する。

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