閑話・仮説
ここに来た理由を、お母さんから尋ねられた為、
「結果から言うと、エルマーナの目が覚めました。」
ここに来た理由を報告する。
ガタンっ
驚いた拍子に、どこかをテーブルにぶつけたのか、カップが倒れてしまう。
「大丈夫、お母さん」
「大丈夫ですか、レジーナ様!!」
「2人とも、大丈夫よ。少し端が濡れただけだから。リリー、悪いけど片付けをお願い。」
「かしこまりました。すぐ片付けさせて頂きます。服の着替えはどうされますか?」
「それは後で大丈夫よ。それより、グラディウス。エルマーナの目が覚めたってどういう事なの?」
着替えを後回しにし、お母さんが聞き返してくる。
「そのままの意味よ、お母さん。エルマーナが目覚めたの。」
「それは、エルマーナにかけてられていた呪詛が解呪されたって事でいいのかしら?」
「たぶん、そうだと思う。」
「たぶん? グラディウスたちが解呪したんじゃないの?」
「それなんだけど…」
私が分かっている範囲で、起こった事を話す。
「そう、そんな事があったのね… それで、グラディウスは、エルマーナを治してくれた人物に心当たりはあるのかしら?」
そう聞かれ、ある男の子… ノーリ君の顔が思い浮かんだ。
「どうやら、思い当たる人がいそうな顔をしているわね。」
「…えぇ。1人それらしき子がいるんだけど、その子が治してくれたという確証がないの。」
ここで思い当たる人がいないと答えても、お母さんにはバレる可能性かある為、正直に話す。
「そうなのね… まぁでも、エルマーナが目覚めて本当に良かったわ。でも、それならどうしてエルマーナを連れてこずに、1人で戻ってきたの?」
「一応、エルマーナが治った事が誰にもバレないようにと今後のエルマーナをどうするのか話し合う為に、1人で戻ってきたんだけど、あんな事… ん?」
ここで、ふとある考えに至る。
「急にどうかしたの、グラディウス? 何か考え事?」
「あ、いやちょっと、あいつが死んだ原因が分かったような気がして…」
「それはどういう事かしら、グラディウス?」
「えっと、エルマーナに呪詛をかけたのがあいつだと仮定して話すんだけど、その前に、1つ確認したいんだけどいいかな?」
「なにかしら?」
「あいつは本当に死んでいるって事でいいのよね?」
「あいつとは、フーリッシュの事よね。私が確認した訳ではないけど、それらをちゃんと調べる人が調べてから報告があがってきているから、その筈よ。」
「ならなんだけど、エルマーナが治った事で、死んだって事はないかな?」
私は、閃いた仮説をお母さんたちに話す。