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閑話・報告前のやりとり

 フーリッシュの件で、お父さんはどうやら忙しそうなので、お父さんへの報告はとりあえず後回しにする。

 だから先に、お母さんへ報告をしようと思い、リリーにすぐ面会出来そうか確認すると、可能との事で、リリーの後に続き部屋を後にする。

 だけど、部屋を出て、数歩進んだ所で、リリーが立ち止まってしまった。


「リリー。急に立ち止まって、どうかしたの?」


 立ち止まった理由を確認すると、リリーは振り返り、


「すみません、グラディウス様。大変申し訳ないのですが、1度先程のお部屋へとお戻りになって貰っても宜しいでしょうか?」


 頭を下げつつ、そう言ってきた。


「さっきの部屋? 別にいいけど、戻ったら理由を聞かせてよ?」


「かしこまりました。」


 先程の部屋へと戻り、


「それで、急にどうしたの?」


 リリーに理由を尋ねる。


「いえ、このままレジーナ様のいるお部屋まで向かうまでに、グラディウス様のお姿を色々な方に見られるのが少し問題になるのではと思いましたので。」


「私の姿?」


 最初は、私の姿を見られただけで、何が問題になるのかと思ったが、いつもと今の状況を鑑みて、すぐその答えにたどり着く。


「あぁ… 誰かしらに、あらぬ疑いを、かけられるかもしれないって事ね。」


「その通りです。それに、グラディウス様は、いつもの手段で、ここにいらっしゃいましたよね?」


「えぇ。まぁ、いつもと言ってもそんなに頻繁に来ている訳ではないけど、今日も転移結晶で来たわね。」


「でしたら、尚更だと思います。未だ、フーリッシュ様の件は調査中ですが、私がここに来る前までは、今のところ何の手がかりもない状態だった筈です。」


「なる程ね。私がフーリッシュを殺ってから(転移結晶を使って)逃げたと言われても、それを否定する事が難しいと言う事ね。」


「はい。更に言えば、グラディウス様が、検問を受けていない事は調べれば分かってしまいます。エルマーナ様の件は、ごく一部の者たちにしか話はいっていない為、それを知らない人から、どういった理由で、どうやってここまで来たのかを聞かれた際も、かなりまずい事になるかもしれません。」


「それもそうね。なら、顔を隠して向かえば大丈夫?」


「いえ、それだと怪しげな風貌の者という理由をつけられてしまい、お顔を確認される可能性があります。そうなってしまうと、何故お顔を隠されているのかという別の疑惑を増やしてしまうかもしれないので、その方法は、避けた方が宜しいかと思います。」


 リリーは、的確な理由と共に、私の案を否定する。

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