閑話・知らされた話
リリーから思いもしなかった質問に、すぐ答える事が出来なかった。
「お答えできないんですか!!」
そのせいで、何かしらの勘違いをさせてしまったのか、リリーが珍しく少し取り乱しながら、私に詰め寄ってきた。
「ちょ、落ち着いて、リリー!!」
「私は落ち着いております!! それで、どうしてお答え出来ないんですか!!」
「いや、だから、落ちつ… 「や… やはり、グラディウス様が… どうしてそんな早まった行動をされたんですか!!」」
何の事やら分からないが、一向に落ち着かず、勝手に話を勧め出すリリーを止める為に、中指を親指にかけ、それをリリーの額へと持ってくる。
パンッ
「痛っ!!」
軽快な音と共に、弾いた中指がリリーの額にヒットする。
「な… 何をされるんですか、グラディウス様」
額を押さえたリリーは、涙目のまま尋ねてくる。
「貴方が話を聞かないからよ。それで、少しは落ち着いた?」
「うっ… はい、すみません。取り乱してしまいました…」
「落ち着いたならいいわ。それで、さっきの質問の答えだけど、昨日はナニーさんの所にいたわ。」
リリーは、エルマーナの事などの事情を把握している為、特に隠す事なく正直に話す。
「ナニー様の所にですか? では、昨日から今日にかけて、こちらには戻ってきておられないんですね?」
「えぇ。今戻ってきたばかりよ。だから、外が少し騒がしいから、それをリリーに聞いたんじゃない。」
「そうですか… 良かったです…」
安心したのか、いつものリリーの雰囲気に戻った。
「それで、リリー。一体何があったの?」
落ち着いた今なら答えてくれると思い、もう一度聞いてみる。
「それが、どうやらフーリッシュ様がお亡くなりになられたようです。」
「フーリッシュ…」
一瞬誰の事かと思ったが、すぐその顔が浮かんだ。
「フーリッシュ!! あいつが死んだ!!」
リリーからの知らされた話に驚愕してしまう。
「それは本当なの、リリー!!」
今度は逆に私がリリーに詰め寄ってしまう。
「落ち着いて下さい、グラディウス様。」
「そ… そうね、ごめんリリー。」
リリーから離れ、1度深呼吸して落ち着く。
「よし… それで、リリー。今言った事は本当なの?」
「はい、本当のようです。ですから、今その犯人がどなたなのか調べている最中のようです。」
「そう、本当なのね… ん? でも、ちょっと待って、リリー。」
「どうかされましたか、グラディウス様?」
「私が来た時には、既に亡くなっていたのよね?」
「そうなりますかね。」
「それで、私が来て、リリーが私に詰め寄ってきた… ねぇ、もしかして、私が犯人だと思ったりしてないよね?」
まさかと思うが、そう確認してみる。




